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<<   作成日時 : 2006/12/09 09:53   >>

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 「東京新聞」の今日の社説をまず掲げる。「労働ビッグバン これでは格差が広がる」というものだ。http://www.tokyo-np.co.jp/sha/

 
政府の経済財政諮問会議で民間議員が提案した「労働ビッグバン」は問題が多すぎる。労働規制を大幅に緩和して企業活力を高めるというが「格差」を広げるだけだ。もっと慎重に検討すべきだ。

 連合の高木剛会長はビッグバン構想に憤りを隠さない。「諮問会議での議論の行く末を懸念している。そこで結論を出して閣議決定しても、うんとは言えないこともある」。安倍晋三首相との初の政労会見でも高木会長は今後の議論を注視すると警告した。

 高木会長が怒るのも当然だ。先月末、御手洗冨士夫日本経団連会長や八代尚宏国際基督教大教授ら四氏が提案した構想は、労働代表がいない諮問会議で労働政策の根底を揺るがしかねない方向を示したからだ。

 たった二枚のペーパーを読むと安倍内閣が掲げている成長戦略・再チャレンジを労働政策面から支援する狙いが明確だ。「複線型でフェアな働き方」を実現させて働く人に誇りを持たせるとともに「企業活力」とを両立させる。そのためには効率的な労働市場の整備や生産性向上、少子高齢化対策などが必要という。

 そして検討項目として労働者派遣法や最低賃金制度などの見直し、市場化テストの拡充、時間に縛られない働き方の実現、外国人労働者の就労範囲拡大などを取り上げた。

 これらはたしかに重要な課題だ。だから現在、公益代表と労使が参加する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)を中心に現行法制の見直し作業を進めている。労働契約法の新規制定は採用から解雇まで新しい労使関係の構築が目的だ。労働基準法やパート労働法の見直しは、長時間労働の抑制や正社員との均等処遇の実現などを目指している。

 ビッグバンはこうした努力に逆行するものだ。たとえば労働者派遣法を見直して三年を超えた派遣労働者への直接雇用義務を撤廃するという。半年程度の細切れ雇用を解消するためというが、雇用義務がなくなればかえって派遣が長期・固定化しかねない。格差も拡大するだろう。

 審議の進め方も問題だ。諮問会議は専門調査会を設置して議論し、来夏の「骨太の方針」に具体策を盛り込む方針という。それなら憲法で保障された労働権や各種労働法、長年の労使慣行などとの調整が必要だ。もっと慎重な対応を求めたい。

 企業側は真剣に考えるべきだ。ビッグバンが実現すれば当面は人件費が減るかもしれない。だが成長に必要な人材が育つのか。働く者を「商品」扱いし使い捨てするならば、そんな企業は発展するはずがない。


 企業は労働コストを出来うる限り下げようという方針を、露骨に出してきているということだ。日本国民の生活や人生、そして日本の未来を、企業の側はまったく考えなくなってきているということでもある。短期的な、目の前にある経済的利益をあげること、これしか考えない。そして日本の労働者は、そのための手段でしかない。手段となり得ないなら捨てるだけだ。これほど露骨に出してきているのだ。
 日本企業は、日本国とそこに住む国民を愛していない。日本国に生き、日本国を支える人々の生活は視野の外なのである。そんな人達が「愛国心」を国民に強制しようとしているのである。彼らが何を提案してきているか、読んでいただきたい。

「複線型でフェアな働き方に〜〜労働ビッグバンと再チャレンジ支援〜〜」という文書である。
今年11月30日の経済財政諮問会議に提出されたものだ。執筆者は、「伊藤隆敏/丹羽宇一郎/御手洗冨士夫/八代尚宏」である。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/agenda.html
 
近年、働き方や家族のあり方は大きく変化しているが、それに対応した制度改革は未だ実現していない。安倍内閣のめざす国づくりには、複線型でフェアな働き方を実現させ、働く人ひとりひとりが「働くことへの誇り」を持てるようにすることと、企業活力とを両立させることが必要である。このためには、関連制度を包括的・抜本的に見直す「労働ビッグバン」が不可欠となるが、これは、@効率的な労働市場の整備、A再チャレンジ支援、B生産性向上、C少仔高齢化対策、など幅広い政策分野にまたがる改革からなるため、まず専門調査会で下記の課題を中心に検討して方向性をとりまとめ、その後の改革につなげてはどうか。

1.複線型でフェアな働き方に(労働ビッグバンの3つの目的)
@.働き方の多様性
労使自治に基づく多様な雇用契約で雇用機会の拡大
仕事と育児の両立
時間に縛られなし働き方など
A.労働市場での移動やステップアップのしやすさ
スムーズな職探し、転職の容易さ
効率的な人材育成・職業訓練
グローバル化に対応する労働市場のあり方など
B.不公正な格差の是正
雇用形態による格差
女性・高齢者・若者等の低所得層に対する対応など

2.労働市場に関して検討すべき論点
@再チャレンジを阻害する労働市場の問題はどこにあるか
・過去の社会環境を前提とした現行の労働法制のあり方は適切か
・フリーター・ニート等への就業支援はどうあればいいか
・職業訓練・紹介の充実のための官民連携のあり方(市場化テストの拡充)
・労働移動のしやすい職種別労働市場の形成には何が必要か

A雇用形態による格差をどう是正するか
・労働者派遣法は、真に派遣労働者を保護するものになっているか
・多様な働き方に共通した雇用ルールはどうあるべきか
・税制や年金制度は働く意欲を阻害していないか、また公平の観点から適切か
・家族のあり方の変化を踏まえた女性・高齢者・若者の雇用はどうあるべきか
・最低賃金制度のあり方

B仕事と育児の両立を図るには何が必要か
・テレワーク等の在宅勤務の拡大には何が必要か
・時間に縛られなし働き方を実現するには何が必要か
・企業活力を維持しながら企業が積極的に取り組むための方策は何か
・利用者のニーズに沿った「保育サービス」の提供をいかに実現するか
・保育と幼児教育の役割分担や連携は適切か

C技能をもった外国人労働者をどのように活用すべきか
・外国人を就労可能とする入国資格の「専門的職種」の範囲をどう設定するか
・雇用主の管理責任をどう考えるか。現在の法制度は適切か

3.労働ビッグバンの進め方

@専門調査会の設置
 経済財政諮問会議に専門調査会を設置して、以上のような制度改革のあり方に
ついての課題の整理と集中的な議論を行い、随時経済財政諮問会議に報告を行っ
てはどうか。諮問会議においては、専門調査会報告や関連制度改革の考え方等に
関して必要に応じて議論を行う。

A『骨太2007』に向けた府省横断的な検討
@の議論を踏まえ、更に議論を深めるべき課題については、府省横断的な検討
の場をつくり、改革の方向性や工程表を作成し、『骨太2007』にとりまとめては
どうか。


 同じ日、彼らは「ハローワークへの市場化テストの導入について」も提出している。
1.市場化テスト(公共サービス改革法)導入の必要性
・公共サービス改革法は、官民が入札して担い手を決めることで、質の高い公共サービスを実現させるもの。
・人材を生かし、再チャレンジを進めるには、民間の知恵を生かして職業紹介や職業訓練を充実強化することが不可欠である。
・ハローワークでは約2万3千人の職員(うち半数が正規の国家公務員)が主として窓ロ業務を担当しているが、民間の人材ビジネスが発展した今日、公務員でなくても担える業務が拡大しているのではないか。
・政府が担う無料職業紹介の機能を確保したうえで、その一部を民間に包括委託することで、労働者の多様なニーズに応え、使い勝手のよい、充実したサービスが提供されるのではないか

2.ILO88号条約との関連
・ILO88号条約(1948年に採択)では、「国の指揮監督の下で、公務員が従事する全国的体系の職業安定機関」を義務付けており(注)、これが市場化テスト導入の反対の根拠となっている。
・最近のILOでは民間職業紹介事業の評価や官民協力の必要性が認識されてきており、民間の補完が否定されているものではない。
・官のハローワークのネットワークが維持され、それを民間が補完する体制が作られれば、同条約の違反とはならないとする解釈もなされ得る。
・批准国でも、民間の知恵を生かす工夫を行っている国がある(豪州では、公務員が民間によるサービス提供に責任を負えば十分との解釈で、民間への包括委託を実施している)

注:ILO88号条約
第2条 職業安定組織は、国の機関の指揮監督の下にある職業安定機関の全国的体系で構成される。
第3条 全国的体系は、地理的区域について十分な数であって、便利な位置にある職業安定機関の網状組織から成る
第9条 職業安定組織の職員は、…公務員でなければならない

3.市場化テスト導入のための新提案
lLO条約の規定は現状のままで、その具体的な解釈を以下のように変更できないか。
@現行の主要な官のハローワークを維持したままで、その他の運営を民間に包括的に委託する(例えば、東京23区で20のハローワークとその支部があるが、その一部を民間開放する)注
A民間開放したハローワークを、官が監督する仕組みを整えることで、官のネットワークは維持される

注:ILO条約の規定は「各地理的区域について十分な数であり、便利な位置にあること」だけである


 職業紹介という国家機関の義務(憲法27条)は、国家の責任で行われなければならないはずだ。とにかく公的な事業を国家や地方自治体から引っぱがして、民間の営利目的の事業としようという姿勢がある。「官から民へ」という場合の「民」は、営利目的の「民間企業」であることをしっかりと認識しなければならない。職業紹介は、営利企業から独立していなければならないのである。

 何でも民間企業へが、「耐震偽造問題」を引き起こしたことを忘れてはならない。




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