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zoom RSS 【東京新聞】 郵便職員の深夜勤務

<<   作成日時 : 2006/12/19 20:38   >>

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 私は労働者が人間らしい生活を犠牲にしてまでも、早く郵便を届けてほしいとは思わない。
深夜勤は、人間の生活スタイルから考えれば異常である。どうしてもしなければならないものなら、しっかりと健康を維持できるように休日を与えてほしいと思う。

 労働者、「冬の時代」である。そろそろ起つときか!!


現職郵便局員が明かす『深夜勤』

 来年十月の民営化に向かって徹底的な合理化が進む郵便局の中で、職員たちが悲鳴を上げている。最も過酷と受け止められているのは、二〇〇四年二月に導入された連続の徹夜勤務だ。現場で「ふかやきん」と呼ばれている深夜勤について、仕分け作業に携わる二人の現職郵便局員がその実態を明かした。彼らは口をそろえて言う。「私たちはロボットではない」−。 (浅井正智)

 東京都台東区の上野郵便局に勤務する重富義明さん(57)は先月下旬、医師から鬱(うつ)と診断され、二カ月の病休に入っている。

 「鬱に追い込まれた最大の理由は、深夜勤の過酷さに耐えきれなかったためだ」と断言する。

 上野郵便局の深夜勤は午後九時四十五分から翌日の午前八時四十五分までの十一時間。かつても徹夜の勤務はあったが、連続することはなく翌日は必ず休みだった。それが深夜勤では三回連続という激務もこなさなければならない。つまり泊まり勤務が明けたその日にまた泊まり勤務をし、さらに三日目もまた泊まりに行くわけだ。ちなみに深夜勤の上限は一カ月で計八回と決まっている。

 「深夜勤をするようになって生活リズムがすっかり壊れてしまった」と重富さんは言う。

 従来は徹夜勤務に就いても翌日は休みなので、リフレッシュすることができた。深夜勤では勤務明けの日も夜にはまた出勤し、徹夜で働くことになる。

 「それが気になって眠りが浅くなり、目覚めてもスッキリ感が全くない。狂った生活リズムを立て直すこともできなくなった。次第に何もかも嫌になった」

 潤いのない生活は、勤労意欲にも影響を及ぼす。

 「前は仕事が忙しくても達成感があったが深夜勤導入後はただ目の前の仕事をこなすだけで精いっぱい。自分の仕事が早く終わったらほかの人を助けてあげようという気持ちも萎(な)えた」

■仮眠なし連続「頭もうろう」

 外国郵便を扱う東京国際郵便局(江東区)に勤務する伊藤晴男さん(53)は、現在まさにこの深夜勤に従事している。一カ月の中で四回連続と二回連続、計六回の深夜勤をこなす。

 深夜勤のつらいところは実質的な仮眠時間がないことだ。伊藤さんの職場の場合、かつての泊まり勤務では真夜中に二時間半の仮眠をとることができた。それが深夜勤になってからは最長で四十分。しかも勤務時間の終わり間際にあり、休憩としての意味はほとんどない。真夜中には十五分ほどの休憩が数回、細切れに入るだけで、仮眠をとることなど事実上、不可能になった。

 国際郵便で、もし仕分けを間違え、別の国に運ばれてしまったら大変なことになる。とりわけ手書きのあて名には判読が難しいものもある。「一番眠い時間に体を休められない。もうろうとした頭で絶対にミスが許されない仕事に取り組まなければならないので激しいストレスになっている」

 仕事が終わって、同僚たちと朝食を食べに行くこともなくなった。「その日の夜、また勤務があるときはそれが気がかりだし、翌日が休みでも、疲れ切ってしまっているため早く帰宅することしか考えられない」

 深夜勤が始まってから、伊藤さんは外食を控えるなどして健康管理に努めているが、それでも健康診断では「血圧が高い」とか「糖尿病の境界」と診断されるようになったという。

■「ゴールなきマラソンだ」

 仮眠時間すら十分にない深夜勤を、伊藤さんは「ゴールのないマラソン」になぞらえる。

 「いつも追いつめられ、追い立てられている感覚と無気力が同居している精神状態。もういつ倒れてもおかしくない」

 重富さんと伊藤さんの二人は「連続深夜勤が過労死の危険を伴う」として、連続深夜勤の差し止めを求め東京地裁に提訴している。同様の訴訟はこのほかにも全国で三件起こされている。

 日本郵政公社によると、在職死亡者の数は、公社が発足した〇三年度が二百七十一人(うち自殺者三十八人)、〇四年度二百七十八人(同五十三人)、〇五年度二百三十四人(同三十一人)。しかし深夜勤をはじめとする労働環境の変化が、突然死や自殺に結びついているかどうかについて、郵政公社は「公社となって以降、自殺、過労死が原因で公務上の災害として認定された事案はない」とし、因果関係を認めていない。

 また深夜勤についても、「勤務時間は労働基準法などの関係法令と公社の規定に基づき、四週間で百六十時間、一週平均四十時間を超えない範囲内で設けており、適正な勤務と認識している」と主張している。

 死に至らないまでも精神疾患による休職者は〇三年度三百九十九人、〇四年度四百九十八人、〇五年度六百二十六人、〇六年度七百十人(各年度とも七月一日現在の人数)と確実に増えている。

 これに対し、郵政公社広報部門の佐藤恭市・担当部長は「精神疾患による休職者は、他省庁や民間企業でも同様に増加している」と過去の新聞報道などを示しながら指摘する。さらに同部長は「深夜勤は民間企業でも取り入れられている。民間の状況も十分取材したうえで記事にすることをお願いする」と取材方法にまで言及した。労働強化は郵便局に限った現象ではない、というのが郵政公社の言い分のようだ。

 確かに日本の雇用形態は大きく変わりつつある。正社員は削減され、派遣社員やフリーターなどの低賃金で身分不安定な労働者に置きかえられている。また一定の年収以上のホワイトカラー労働者について一日八時間、週四十時間の労働時間規制を撤廃する「ホワイトカラー・イグゼンプション(適用除外)」が年明けの通常国会に上程されようとしている。

 労働問題に詳しいルポライターの鎌田慧氏は、「労働強化の手が次から次へと打たれてきており、権利をむしり取られた労働者は今や丸裸に等しい。働く者を谷底に突き落としておいて、はい上がってこいというのが安倍政権の再チャレンジ政策だ。郵便局の現場で行われている労働強化もこの『亡国の労務政策』の一環として行われている」と指摘する。

 郵便局に限った現象ではないというのは、その意味で間違ってはいない。

 しかし前出の重富さんは「郵政公社は職員に過酷な勤務を強いた自らの非をまず認めるべきなのに、民間と同じだというのは、責任逃れ以外の何ものでもない。在職死亡した職員の遺族にそんなことを面と向かって言えるのか」と怒りをぶちまけ、こう強調する。

 「民間もやっているという言い訳は、逆に労働強化が過労死や自殺と因果関係があることを半ば認めたようなものではないか」

<デスクメモ>民間の宅配便業者は、不在票の運転手に電話すれば、その日のうちに持ってきてくれる。郵便局の場合、そこまで弾力的な対応はしてくれない。しかし、民営化すれば競争が激化し、深夜配達の郵便もあるかも。どこの業界でもサービス向上は歓迎だが、それが単なる労働強化では、世の中暗くなるばかりだ。(蒲)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061217/mng_____tokuho__000.shtml

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