過去と未来の間

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zoom RSS 元旦の社説 朝日・東京(中日)・毎日

<<   作成日時 : 2007/01/01 10:16   >>

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 ここに三紙の社説を掲げる。「朝日」は久しぶりに「ニュース解説」から脱皮することが出来た。しかし、論が「浅い」。長い文を書くだけの技量が「朝日」の論説委員は持ち合わせていないように思われる。主張に沿わない枝葉を切り落とすと、短い文になってしまう。主張は、日本には素晴らしい点が多くあること、それが国際的にも評価されていること、その評価には、もちろん軍事的なものはない、そうあり続けることを願うという内容である。私も賛同できる内容である。
 「東京」は、国内問題にのみ焦点が絞られているが、論として深く、主張が鮮明である。若者のみならず、私のような中年組も、未来への不安を抱いている。そこに論点を絞っての主張である。主張に必要な資料をそろえ、主張を支える。だから具体的で説得力がある。「東京」の論説委員は、少なくとも私が読む各紙のなかでレベルがもっとも高い。
 「毎日」は軽い。しかし内容的には、まあ首肯できる。「国民を大切にする政府」は、今こそ声高に主張されなければならない。  



【朝日】 戦後ニッポンを侮るな 憲法60年の年明けに

 キリマンジャロのような高山から、しだいに雪が消えつつある。

 氷河はあちこちで「元氷河」になり、北極や南極の氷も崩れている。このまま進むと世界の陸地がどんどん海になり、陸上の水は減っていく。

 ニューオーリンズを襲った恐怖のハリケーンなど、最近の異常気象も、海水の温度上昇と無縁ではない。大気中に増える二酸化炭素(CO2)を何とか抑えなければ、地球の温暖化はやまず、やがて取り返しのつかないことになる。

 米国の元副大統領アル・ゴア氏が伝道師のように世界を歩き、地球の危機に警鐘を鳴らしている。1月に日本公開される記録映画「不都合な真実」は、それを伝えて衝撃的だ。

●地球と人間の危機

 人間の暮らしを豊かにする技術の進歩が地球を壊していく皮肉。だが、深刻なのはそれだけではない。人が人を憎み、殺し合い、社会を壊す。進歩のない人間の浅ましさが、いまも世界を脅かす。

 今年の正月はイスラム教の「犠牲祭」に重なった。神に感謝してヒツジを犠牲にし、みなで食べる大祭だが、イラクの人々はお祭り気分にほど遠くないか。戦争開始から4年近くたったのに、自由で民主的な国の訪れは遠く、まるで自爆テロの国となってしまった。

 市民の死者はすでに5万数千人。停電や断水は絶えず、石油は高騰。避難民は50万人に達し、崩壊国家に近づいている。米英兵の死者も3千人を超えたが、兵を引けないジレンマが続く。ブッシュ政権は中東の混乱に拍車をかけ、世界をより不安にさせてしまった。

 ゴア氏とブッシュ氏――。6年前、大統領選の行方を決めたフロリダ州での開票は、世界の行方も左右した。

 CO2削減のために決められた京都議定書にブッシュ政権は背を向けた。米国は圧倒的なCO2排出国なのに、何と鈍感なことか。一方で、国際世論の反対を押し切ってイラク攻撃へと突き進んだ。軍事力への過信である。

●「新戦略」のヒント

 この5月、日本国憲法は施行60周年を迎える。人間ならば今年は還暦。朝日新聞はそれを機にシリーズ「新戦略を求めて」を締めくくり、日本のとるべき針路を提言する。ゴア氏が訴える危機と、ブッシュ氏が招いた危機。そこにも大きなヒントがある。

 悲願だった教育基本法の改正を終え、次は憲法だ。そう意気込む自民党の改憲案で最も目立つのは、9条を変えて「自衛軍」をもつことだ。安倍首相は任期中の実現を目指すといい、米国との集団的自衛権を認めようと意欲を見せる。

 だが、よく考えてみよう。

 自衛隊のイラク撤退にあたり、当時の小泉首相は「一発の弾も撃たず、一人の死傷者も出さなかった」と胸を張った。幸運があったにせよ、交戦状態に陥ることをひたすら避け、人道支援に徹したからだった。それは、憲法9条があったからにほかならない。

 もし名実ともに軍隊をもち、その役割を拡大させていたら、イラクでも英国軍のように初めから戦争参加を迫られていただろう。そうなれば、一発の弾も撃たないではすまない。間違った戦争となれば、なお悔いを残したに違いない。

 もちろん、国際社会が一致してあたる場合は知らん顔はできまい。テロ組織の基地を標的としたアフガニスタン攻撃はその例だった。

 自衛隊はどこまで協力し、どこで踏みとどまるか。「憲法の制約」というより「日本の哲学」として道を描きたい。

●得意技を生かそう

 昨年はじめ、うれしいニュースがあった。英国BBCなどによる世界33カ国調査で、日本が「世界によい影響を与えている国・地域」で2位になったのだ。

 1位は欧州だが、国家としてはフランスや英国を抑えて堂々のトップ。小泉前首相は「日本の戦後60年の歩みを国際社会が正しく評価している」と喜んだ。その通りである。

 「GNP」(国民総生産)ならぬ「GNC」とは、米国ジャーナリストのダグラス・マッグレイ氏がつくった言葉だ。Cはクールで「カッコいい」の意味だから、GNCは「国民総カッコよさ」か。日本は世界で群を抜くという。

 アニメ、漫画、ゲーム、ポップス、ファッション、食文化……。どの分野でも日本が世界やアジアをリードしている、というのだ。そういえば、最近はパズルの「数独」が世界のSudokuだ。そうしたことがBBC調査の結果にもつながったのだろう。

 映画「不都合な真実」では、排ガスのCO2削減が企業の評価を高めている例としてトヨタとホンダを挙げている。米国車とは対照的だ。省エネや環境対策といった日本の得意技は、これからも世界に最も役立てる分野である。

 軍事に極めて抑制的なことを「普通でない」と嘆いたり、恥ずかしいと思ったりする必要はない。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げるが、それは一周遅れの発想ではないか。

 むしろ戦後日本の得意技を生かして、「地球貢献国家」とでも宣言してはどうか。エネルギーや食料、資源の効率化にもっと知恵や努力を傾ける。途上国への援助は増やす。国際機関に日本人をどんどん送り込み、海外で活動するNGOも応援する。そうしたことは、日本人が元気を取り戻すことにも通じよう。

 「軍事より経済」で成功した戦後日本である。いま「やっぱり日本も軍事だ」となれば、世界にその風潮を助長してしまうだけだ。北朝鮮のような国に対して「日本を見ろ」と言えることこそ、いま一番大事なことである。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

【中日】 新しい人間中心主義

 「戦後最長の景気拡大」と「企業空前の高収益」がよそごとのような年明けです。この国は未来を取り戻さなければなりません。新しい人間中心主義によってです。

 ことし満六十歳。順次、定年を迎える団塊世代六百八十万人の第一陣に属する身として、昨年暮れに発表された「東大生の学生生活実態調査」の囲み記事を興味深く、また、多少の同情をこめて読みました。

 東大生といえば同世代の中の「勝ち組」で、社会に出るにも最も恵まれた立場にある若者たちでしょう。

 その東大生でさえ七割が就職に不安を感じ、三割近くが「自分がニートやフリーターになるかもしれない」と回答していたからです。

■若者には未来がある

 人はだれも未来に一抹の不安を抱くものでしょうが、東大生たちの回答には怯(ひる)みが感じられます。徹底した市場原理主義と競争社会が緊張を強いるのでしょう。

 それに比べ、団塊の世代が社会に出るころは幸せな時代でした。高度経済成長のただなかで、明日は今日より豊かだという確かな未来がありました。

 企業組織にあって、「努力」や「勤勉」「律義」や「誠実」は、なお大切な徳目で、何より労働は喜びであったり、自己表現であったり、生を充実させるものでもありました。

 若者をめぐる境遇は、いま、一変しています。

 バブル崩壊後の長く絶望的な不況からの脱出のためにはそれしか方法がなかったのかどうか。

 企業の大幅な人件費の削減と組織の中核を形成する社員以外は非正社員化することを打ち出した「新時代の日本的経営」(一九九五年・旧日経連報告書)。それに直撃されたのが、団塊ジュニアともいえるべき世代でした。

 企業にとって、パートやアルバイト、派遣労働などの非正規雇用は、安価で、必要な時に必要な量だけ調達できるこのうえなく効率的なものでした。打ち切りも容易で、非正規雇用は一気に広がっていきますが、ことに不遇だったのは、永く厚い就職氷河期下にあった若者でした。

 二〇〇五年現在で、十五−三十四歳の男女でパート、アルバイト労働に従事すると定義されるフリーターは二百一万人を数えます。平均年収は百四十万円です。

■国の基盤が壊れてしまう

 七割が正社員を希望しながら脱出できず年長フリーターとなっていきます。結婚し、子供をもち、家庭を築きたい、というごく当たり前の願いが叶(かな)いません。そんな国に未来はあるのでしょうか。

 小泉前政権で加速された市場原理主義と新自由主義による構造改革で貧富と格差はさらに拡大しました。

 働く者の三人に一人、千六百万人までになった非正規雇用。生活保護受給はかつての六十万世帯から百五万世帯に、その生活保護世帯よりさらに所得の低いワーキングプア層まで生まれてきました。

 景気は「いざなぎ」を超えて五十九カ月連続の拡大、東証一部上場企業はこの三月期には四年連続で過去最高益を達成する見込みですが、企業に、収益を雇用や賃金に振り向けようとする動きはみられません。

 企業間競争のグローバル化、高コスト体質に逆戻りすることを恐れるからなのだそうですが、すでに出生率は一・二六まで低下しています。産みたくても産めない社会では、一企業の消長どころではなく、国の基盤そのものが壊れてしまいます。早急に立て直しが必要です。

 国の財政配分は再建のカギのひとつですが、「雇用政策費」も「教育費」も医療・年金などの「社会保障給付費」のいずれも対GDP(国内総生産)比支出は先進国中の最下位グループです。いかに道路、河川、ダムなどの公共事業中心だったか。

 財政事情は厳しく有限です。公正な配分や負担がどうあるべきか、徹底した議論が必要でしょう。

 が、若い世代が希望をもてない国に未来があるとは思えません。

 行き過ぎの市場原理主義に否定されてしまった人間性が復活し、資本やカネでなく新しいヒューマニズムが息づく社会−そんな選択であるべきです。

■受け継がれる格差

 格差はいまや世代を超えて引き継がれ、固定化しつつある、というのが社会学者たちの報告です。

 確かに政界では、安倍晋三首相も小泉純一郎前首相も、自民党の有力議員の多くが二世、三世議員です。生まれながらにして統治権力の側に就くことが約束されているかのような新階級の出現にさえみえます。

 勝ち組世襲議員に敗者の現実がみえ、心情が理解できるかどうか。

 悲願の改定教育基本法を成立させた安倍政権の次なる目標が改憲ですが、そこに盛り込まれている権力拘束規範から国民の行動拘束規範への転換こそ、勝ち組世襲集団の発想に思えるのです。

 国民の内にある庶民感覚と感情のずれ。改憲に簡単にうなずけない理由のひとつです。


http://www.tokyo-np.co.jp/sha/

【毎日】  「世界一」を増やそう 挑戦に必要な暮らしの安全
 
日本に「世界一」はいったいいくつあるだろう。

 鹿児島県の桜島大根は世界一大きいダイコンだ。法隆寺は世界一古い木造建築である。野球の王ジャパンは米大リーグを抑え世界一になった。「男はつらいよ」は世界一長い映画シリーズである。

 いくらでもある。東京競馬場の大型映像スクリーン(ターフビジョン)は三菱電機製で世界最大である。トヨタの「カローラ」は車名別生産台数世界一の自動車だ。そして、わが日本は世界一の長寿国である。

 2007年の年頭に当たって私たちは、この世界一のリストをどんどん増やしていこう、と提案する。厳密に「世界一」である必要はない。世界的基準に照らして傑出したモノやサービス、世界に胸をはって誇れるような「日本発の価値」を増やそうという呼びかけだ。

 日本人がいまの豊かな暮らしを維持するには、世界一を増やすほかないからである。

 ◇急速に進む少子高齢化

 日本は少子高齢化とグローバリゼーションの荒波にもまれている。今年は07年問題の年。団塊の世代が定年で一線から退き始める。ベテランの技術が継承されず消えかねない。年末に発表された将来推計人口によれば、少子高齢化は想像以上のスピードだ。50年後、日本の人口は9000万人を割ってしまう。

 人口減少のインパクトは大きい。自動車やカラーテレビは国内販売台数が縮小傾向にある。企業が国内市場で売り上げを伸ばすのは難しくなった。

 今年、世界一をめざすトヨタの海外シフトは急だ。国内と海外の販売比率は90年の1対1から今年1対5になるという。日本は世界市場に目を向けるほかない。中国などが追い上げてくる。世界一の数が日本の未来を決める。

 人口が減って日本経済が縮小しても、1人当たりで分配が大きくなればよい。そういう考え方がある。その通りだが、現実は厳しい。日本の1人当たり可処分国民所得は、長らく世界一だったが、近年、米国や北欧諸国に次々と抜かれつつある。  エレクトロニクスや金融にかつての勢いはない。デジタル革命、情報技術(IT)革命という大変化に、十分に対応できなかった。金融は破滅寸前に国民負担で救済された。

 「失われた15年」である。遅れを取り戻すためには、目標と志を高く掲げる必要がある。

 私たちは、たくさんの世界一を生み出してきた。実績が日本人の能力を証明している。浮足立つ必要はない。

 日本の製造業の中には、ハイテク製品の製造になくてはならない部品や素材で、世界一のシェアを占める企業が何百とある。米アップル・コンピュータの大ヒット商品「iPod」も日本製の部品や素材がなければ製造できないのだ。

 こうした日本製の「世界一」が、私たちの豊かな暮らしのモトだ。これを増やす戦略をたて果断に実行する必要がある。

 「世界一」を生むのは技術革新(イノベーション)だ。安倍政権は「新成長戦略」で規制緩和や科学技術予算の「選択と集中」を行い、技術革新を促進しようとしている。強力に推進してもらいたいが、重要な視点が欠けているのではないか。

 脳科学者の茂木健一郎氏が興味深い指摘をしている。子どもは母親が見守ってくれているという安心感があってはじめて、探究心を十分に発揮できる。新しいものに挑戦するには、母親のひざのような「安全基地」を確保する必要がある、と。

 さらに、北欧諸国の高福祉高負担路線。なまけ者を作るシステムといわれたが、実際はめざましい技術革新で日本や米国より成長率が高い。

 その秘密は丈夫な社会的「安全ネット」の存在だ。失敗しても落ちこぼれないから、冒険ができる。それが技術革新をうむ。日本とは国の形が異なるからモデルにしにくいが、深く考えさせるものがある。

 安全基地と安全ネット。「安全」がキーワードである。

 ◇市場主義のひずみ噴出

 いま、私たちの周囲では、格差問題や働いても生活保護以下の収入しか得られないワーキングプアの問題など、市場主義のひずみが噴出している。

 安倍政権は「成長」が一番の処方せんだ、と主張する。パイを大きくし分配を増やすのが問題解決の早道だ、と。一面の真理だが、時代はもっと先に進んでいる。

 安全ネットは弱者対策として必要なだけではない。冒険に踏み出す「安全基地」として不可欠なのだ。その観点から、現状は寒心に堪えない。年金制度の長期的安定性に疑問符がついているようでは話にならない。政府の成長戦略は暮らしの安全保障を先送りする口実になっていないか。

 日本はさまざまな世界一を必要としている。なかでも必要なのは、世界一国民を大事にする政府である。そして、世界一の政府を求めるならば、私たち自身が世界一啓発された有権者でなくてはならない。

 今年は春に統一地方選、夏に参院選が待っている。投票所に足を運ぶ。国民のための政治を実現するには、まず私たちが腰をあげる必要がある。それを世界一づくりの第一歩としよう。


http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/


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