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zoom RSS 最高裁の二つの判決

<<   作成日時 : 2009/04/15 21:37   >>

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 以前周防正行監督の「それでもボクはやってない」という映画を見た。突然電車内の痴漢犯として逮捕され、否認するも有罪とされ、自らの無実を証明するために多くの人たちと共に闘うというものだ。

 地方に住んでいると満員電車に乗る機会はほとんどない。学生時代は東京にいたが、通常は鈍行を利用していたので、あまり満員電車の経験はない。しかし用事があってたまに乗る電車の混みかたは殺人的であったことを覚えている。ああいう混む電車の中で誰が痴漢であるのかを見つけるのはたいへんなことだろう。それにつけこんで痴漢は痴漢行為を働いているのだろうが、そういうことをしていない人が間違って逮捕されたら大変だろうなと思う。もちろん被害を受けた女性もいやであろうが、しかし無実の人が犯罪者として逮捕起訴されたら、おそらく強いショックを受けるだろうと思う。犯罪行為が破廉恥なことであるから、その実行犯とされてしまうとき、人格を根本から否定されるような感覚を持つのだろうと想像する。安定した精神状態は維持できないだろう。

 今回、防衛大学の教官が無実とされたことは正しいと思われる。やはりこういう犯罪であっても、一人の人を有罪にするためには、きちんとした証拠がなければならない。最高裁判決は、刑事裁判の原則に沿った判決を下した。それは今日の「東京新聞」の社説にも、書かれている。「痴漢無罪 『やってない』に耳を」という社説だ。

電車内で痴漢をしたとされた男性に、最高裁が無罪判決を出した。一、二審の実刑判断を「慎重さを欠く」と破棄したのだ。女性の尊厳を汚す卑劣な犯罪だが、捜査が安易であってはならない。

 東京都内の満員電車で、二〇〇六年春に起きた事件だった。高校に通学途中の女性が、下着の中に手を入れられるなどの痴漢被害に遭った。

 女性は嫌悪感を覚え、初めはその行為を目で見ることもできなかったほどだ。その苦痛と屈辱を思いやれば、許せぬ卑劣な犯罪、極まりないといえる。

 だが、問題は犯人がどの人物かである。女性は、体がくっついた状態になっていた男性が犯人だと思った。駅で男性のネクタイをつかんで、駅長に突き出した。

 「関係ない」と男性は、捜査段階から一貫して犯行を否認していたが、強制わいせつの罪で起訴され、一審、二審とも懲役一年十月の実刑判決を受けた。

 弁護側によれば、男性は指から微小物を採取され、警察官から「DNA鑑定をすれば分かる」と言われたという。だが、その鑑定書は法廷に提出されなかった。繊維の鑑定でも、女性の下着と同じものは検出されなかったという。目撃証人もいない。つまり女性の供述だけが判断材料だったのだ。

 物的証拠など客観的証拠は存在しない。かつ、最高裁は女性の供述にも「疑いをいれる余地がある」とし、「一、二審の判断は慎重さを欠く。破棄しなければ正義に反する」と批判した。

 事実にまで踏み込んだ異例の判断の背景には、もともと痴漢事件では、女性側の供述の信用性を肯定して、有罪に導く判決例が相当数あるからだ。それだけ事実誤認の危険が潜んでいるといえる。冤罪(えんざい)の発生する可能性が大きいわけだ。

 「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則は、冤罪を防ぐためにある。最高裁はその原則に照らし、今回の判断を示したといえる。

 大都市での公の場所で、痴漢という卑劣な犯罪は多発している。同時に「やっていない」と訴えても、「犯人だ」と汚名を着せられる事態も起きていよう。無実が聞き入れられねば、さらなる深刻な人権侵害を生んでいるに等しい。

 捜査当局が被害女性の声に耳を傾けるのは当然だ。だが、同時に先入観にとらわれず、客観的な証拠収集による、捜査当局が被害女性の声に耳を傾けるのは当然だ。だが、同時に先入観にとらわれず、客観的な証拠収集による、慎重で公正な捜査が求められてもいよう。


 だがもうひとつ、最高裁は判決を下した。その判決は、前述とはまるっきり反対のものだ。御殿場市の少年4人が少女を強姦しようとした強姦未遂で逮捕起訴され、有罪判決を受けていたものだ。これに関しても、少女の証言のみで、その証言もころころかわり、信用性がまったくないものだ。

 この事件については、テレビ朝日の2008年3月9日放送の「ザ・スクープ」で放映され、それは今もみることができる。下記HPの2008年3月9日にアクセスしてほしい。

http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/

 また『冤罪ファイル』という雑誌でも大きくとりあげられた。第三号である。
http://enzaifile.com/back3.html

 今日の「東京新聞」夕刊は「強姦未遂で上告を棄却 元少年4被告 実刑が確定へ」として報道している。

 
静岡県御殿場市で二〇〇一年、十五歳の女子高生を集団で乱暴しようとしたとして、強姦(ごうかん)未遂罪に問われた当時十六−十七歳の元少年の被告四人=現在はいずれも(24)=の上告審で、最高裁第一小法廷(桜井龍子裁判長)は、四人の上告を棄却する決定をした。懲役一年六月の実刑とした二審判決が確定する。

 二審東京高裁判決などによると、四人は〇一年九月、仲間の少年六人と女子高生を同市内の公園に連れ込み、乱暴しようとしたとして逮捕、起訴された。事件では少年十人が逮捕され、全員が自白した。

 実刑とされた四人は少年審判の冒頭から否認に転じた。女子高生が犯行日を〇一年九月十六日と申告していたが、〇二年の一審の公判の途中で「十六日は男友達と会い、帰宅が遅れた言い訳として一週間前の被害を持ち出した」と証言し、検察側が犯行日を一週間前に改める訴因変更をするなど異例の経過をたどった。

 二審東京高裁は冤罪(えんざい)を主張した四人の訴えを退けた。その上で「被害者の申告にも問題があった」として、懲役二年とした一審静岡地裁沼津支部判決を破棄し、懲役一年六月に減刑した。



 こういう冤罪は、絶対にあってはならない。最高裁判決がでたが、それでも無実は証明されなければならない。


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