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<<   作成日時 : 2012/05/06 10:41   >>

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 政府や官僚、民間資本に対する不信の念は強い。というのも、「規制緩和」というものは、結局民間資本に儲けを保障するものであるからだ。「規制緩和」により、どれほどの事故が起きたか。あるいはAIJの問題も、「規制緩和」によるものだ。悪徳民間資本の跳梁を許したのが「規制緩和」策であった。


国の基準は信用できるか 週のはじめに考える

2012年5月6日

 東日本大震災と東京電力の福島原発事故以来、政府の仕事ぶりに疑問を抱かせる事例が続いています。政府を監視する仕組みを強化せねばなりません。

 とても痛ましい光景でした。連休中に発生した関越自動車道のバス事故は居眠り運転の怖さを思い知らせてくれます。

 運転手の刑事責任はこれから追及されるでしょうが、それとは別に、深夜未明に及ぶ運転という過酷な仕事について、政府の基準はどうなっていたのでしょう。

 国土交通省の基準では、一人の運転手が一日に運転する最大距離を六百七十キロと定めています。この基準はどう決まったのか。


独自に動く地方と民間

 総務省が二〇一〇年九月に国交省に出した勧告が実態を暴露しています。それによると、国交省は全国のバス事業者から提供された運行データを統計処理し、そこから数字をはじき出していました。つまり、実態を基に算出した数字にすぎないのです。

 本来なら「人間はどのくらい運転すると疲労がたまり、眠くなるか」といった要素も検討されて当然です。消費者や専門家の意見も考慮されませんでした。

 総務省は問題ありとみて基準を「乗務距離が運転者に与える生理学的影響を踏まえたもの」に改定すべきだと勧告しましたが、なにも手が打たれないまま事故が起きてしまいました。政府の機能不全と言ってもいい。

 実は、政府とは別に独自の厳しい基準を設けた地域があります。北海道です。ツアー客を乗せたバスの死傷事故が起きました。すると「このままでは観光に悪影響が出る」と心配する声が高まりました。そこから地元の労働基準局や警察、バス協会などが連絡会議を立ち上げ、自分たちで安全基準作りに乗り出します。


国民の支持が不可欠に

 それは「一日の乗務距離は上限三百五十キロ。高速道路では四百二十キロ」という内容でした。政府の基準に比べて、37%も少ない。こちらの方が安全であるのは言うまでもありません。地元の強い危機感を反映した結果でしょう。一九九七年のことです。

 似たような例は原発事故の後、食品でも起きています。政府は原発事故の直後、食品(野菜、肉、魚など)に含まれる放射性セシウムの規制値を暫定的に一キログラム当たり五〇〇ベクレルと定め、一二年四月から一〇〇ベクレルに厳しくしました。

 ところが、心配する消費者の声を受けて「五〇ベクレル以上のものは販売しません」「今後はゼロベクレルを目標に」と一段と基準を強化する大手スーパーが現れました。

 農林水産省は「消費者を混乱させる」として政府の基準に従うよう業界に通知しましたが、消費者の反発に遭うと、鹿野道彦農相が「強制力はない」と事実上、撤回に追い込まれました。これまで一定の権威を保っていた名高い霞が関の「行政指導」が通用しなくなっているのです。


 これは何を物語っているか。

 政府が「これが安全基準だ」と業界や国民に順守を徹底させようとしても、当事者が「それでは商売にならない」と判断すれば、効き目はない。そういう話です。


 政府がどう言おうと、消費者がそっぽを向いてしまえば、商売になりません。バス事業者は客離れを深刻に受け止めたからこそ独自に動いた。スーパーも同じです。

 政府には法的権限がありますから一見、万能に見えますが、オールマイティーではない。国民の支持がなければ結局、うまく機能しません。独裁国家の政府が「市場取引はダメだ」と言っても、人々は生き延びるために闇市場を開く話と似ています。

 もう一つ、重要な安全基準があります。原発です。政府は関西電力・大飯原発の再稼働に向けて、原子力安全・保安院に新しい安全基準を作らせたかと思うと、枝野幸男経済産業相があっという間に「安全性の基準が満たされた」と宣言し再稼働に動いています。

 保安院に象徴される政府の体制こそが事故の遠因だったのですから、その政府が何も変わらず安全と言っても、信じる人は少ない。それでも再稼働を強行すれば、どうなるか。基準を信じないだけでなく、今度は政府の信頼性が揺らぐでしょう。


国会とメディアの役割

 どうすれば、信頼できる政府ができるのか。究極的には国民が選挙で選ぶのですが、その前に国会の役割を強化できないか。国会には決算行政監視委員会があります。重要案件については必ずここで議論するようにする。事務局体制も抜本強化する。

 それに私たちメディアです。「政府の基準」を鵜呑(うの)みにせず、地方や民間、在野の議論をもっと大事にする。議論の土俵を広げていく努力を続けます。


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