朝日新聞の社説

 「東京」(「中日」)の社説には、主張があり、その根拠も明確である。文の背後にしっかりとした知識と見識がある。深いのである。

 ところが「朝日」の社説は、浅い。文字が意味するそれだけのものでしかない。果たして書いている論説委員に、「あんたわかって書いているの?」と質問したいくらいだ。主張がないのである。たとえあっても、行間に隠された知性というか知識というか、見識というか、そういうものがないのである。
 12月1日、朝日新聞社は「朝日新聞記者行動基準」なる文書を作成したが、そんなことより自らの顔と言うべき「社説」の内容を吟味したらどうか。どうも朝日新聞社は、「宣言」とか「行動基準」とか、「外形」だけにこだわっている。その理由は、「社説」とか記事とかに内容がなくなっているからであろうと推察する。
 たとえば次の社説だ(12月22日付)。

本間氏辞任 つまずいた安倍改革

 11月に政府税制調査会の会長に就任したばかりの本間正明氏が辞任した。東京・渋谷の一等地に立つ豪華な官舎に、家族ではない女性と暮らしていた疑惑が世論の厳しい批判を招いた。
 本間氏の起用には安倍首相の意向が強く働いていた。財務省が推す石弘光前会長の再任を退け、「脱官僚」を掲げる新政権の目玉人事として実現させたものだ。当人の公私混同が理由とはいえ、安倍政権に与える打撃は極めて大きい。
 大阪大教授の本間氏は、大阪に自宅がある。小泉前政権時代に経済財政諮問会議の民間議員となり、東京との間を往来することが日常化したため、03年から都内の官舎を与えられていた。
 重い公的ポストのうえ、出張のたびにホテル代を払うより安上がりなら、官舎を提供するのも理解はできる。だが、本間氏の場合、首をかしげたくなることが少なくなかった。
 大阪でも夫人とは別居しているのに、当初、国には官舎で同居すると届けていた。そのうえで都心の3LDK、96平方メートルの幹部用の住宅に入った。月々の家賃は7万7千円という好条件だ。
 そこで、実は別の女性と暮らしていたとすれば、納税者は釈然としない思いだろう。

 政府税調は大所高所から税負担のあるべき姿を議論する。業界の思惑が反映しがちな自民党税調と比べたとき、高い公正さや透明性が求められている。納税者の暮らしや痛みにも、人並み以上に敏感であってほしい。
 なのに、その会長が自らの振る舞いに疑問を抱かれるようでは、どんな立派な答申を出そうと、国民は耳を貸さないだろう。本間氏が職責を全うできるとは思えなかったから、辞任するのは自然の成り行きだった。

 本間氏以前の政府税調は、財務省の意向をくんだ人が会長に選ばれるのが通例で、首相の諮問機関という看板は名ばかりだった。
 この慣習を覆して起用された本間氏は就任早々、法人減税に前向きの答申をとりまとめた。財政再建を重視する立場から消費税アップにも言及した石前会長時代とは一線を画し、首相の成長重視路線を税制の面から支えようという方向をはっきりと打ち出した。
 小泉時代の構造改革路線を慶応大教授出身の竹中平蔵・前総務相が支えたように、安倍政権においては本間氏が「改革の知恵袋」と呼ばれる存在だった。
 それをこのような形で失った政権の痛手は深刻だ。郵政造反組の自民党復帰を認めて以来、「改革後退」を印象づけるような出来事が相次ぎ、世論調査では安倍内閣の支持率が急落している。
 本間氏を擁護しようとする首相に対し、党内の有力者からは逆に同氏の進退を問う声が相次いだ。自民党総裁選を圧勝して政権についた首相だが、就任3カ月にしてその指導力に「黄信号」がともったともいえる事態だ。


 これは「社説」ではなく、「解説記事」である。主張は、「納税者の暮らしや痛みにも、人並み以上に敏感であってほしい。 」だけである。それもきわめて抽象的な主張である。事実そのものは展開されているが、何を主張するための事実の提示なのか。つまり論説委員には、最初から主張すべきものがない、問題意識がないのである。鋭角的な問題意識があれば、文章もきりっとしまった良い文章になるのだろうが、それが欠如しているのであるから、文そのものもきわめて平板になってしまう。

 それに「なのに」という接続詞を使用しているところに、ギョッとさせられた。このことばは『広辞苑』(第五版)にも載っていない、最近の口語的な表現である。「社説」に使用されるべきことばであろうか。

 最近の「朝日」の「社説」の難点は、まずテーマに関する問題意識がないこと、みずからの立脚点が不明確であること(時には批判されるべき立場の人間と同じ位置に立つことさえある)、主張すべき内容が不明確であること(これは前述したように、問題意識がないから仕方がないことである)、書こうというテーマに関する学識がないこと(事実の羅列はあるが)、である。

 論説委員に、良い人材がいないと見える。入試によく使用されるというが、これではもう使用されなくなるだろう。






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