アメリカ金融資本の動向

 『経済』1月号に、「金融危機は米国金融を変えたのか」という論文が載っている。たいへんわかりやすく、また説得的な内容である。  著者は、小倉将志郎氏、新進気鋭の静大准教授である。  米国金融資本を歴史貫通的に規定するものとして、「大手金融機関の集中と莫大な利益」、「大手金融業界と政治の緊密なつながり」をあげる。  この二つが、今度の金融危機で変化があったのかどうかを分析したものだ。  金融危機後の2009年になっても、大手金融機関は巨額の純利益を計上していて、ゴールドマンサックスなどは、過去最高益を更新する勢いだとし、また金融機関の役員・従業員は巨額な報酬を得ているという。2007年の大手金融機関の給与・ボーナスは1300億ドル、2009年は1400億ドルにもなるという数字をあげ、「大手金融機関の集中と莫大な利益」には、大きな変化はないとする。  政治との緊密なつながりのなかで、大手金融機関は利潤追求が自由に出来るように規制撤廃を要求する一方で、経営危機になると納税者の負担で政府による救済を受ける。なかでもゴールドマンサックスの経営に関係する者たちが、政府や国際機関(世界銀行など)に入り込み、ゴールドマンサックスをはじめとした大手金融機関に莫大な利益を獲得できるようにしている、という。AIGは政府から多額の救済資金を獲得し、その金をゴールドマンサックスに支払っている(130億ドル)ことから、AIGの救済はゴールドマンサックスを救うために行われたのではないかとする。 …

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【雑誌】『経済セミナー』2007/2/3 号

 「特集」は、「生と死の経済学」である。主な目次は以下の通り。 生と死を考える  中村尚司 歯止めの効かない人口減少がもたらす未来とは!?  山口三十四 少子化と働き方の改革 ――出生率低下の経済学的意味  樋口美雄 生命の価値は測れるか  竹内憲司 経済の成熟化と死生観  広井良典 健康と社会経済格差  橋本英樹 変貌する終末期医療と介護  岡本祐三 経済学者は「死」とどう向き合ってきたか――競争論再考  井上義朗 エドマンド・フェルプス教授の功績  ――2006年度ノーベル経済学賞 竹田陽介 ムハマド・ユヌスとグラミン銀行のノーベル平和賞受賞に寄せて 黒崎卓 追悼ミルトン・フリードマン ――世界を変えた経済学者 清水啓典 連載  経世家の思想と政策(10)   大平正芳――時代の扉に手をかけた哲人宰相 香西泰  名著再訪・20世紀日本の経済学編(11)   村上泰亮『反古典の政治経済学』 小田中直樹  財政再建の選択肢(11)   わが国の地方財政の見直し 矢野康治  歴史から学ぶ現代金融の考え方(11)   金融犯罪――儲け話はなぜ信用できないのか 吉本佳生  吉本の「金融犯罪」は、別に目新しい記述はないが、メガバンクが未だ問題の多い「変額年金保険」を販売していること、大手証券会社も「確実に儲ける方法など知らない」などを指摘しながら、「甘い期待を捨てること」とまとめている。しかしなぜ同じような詐欺事…

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『週刊 東洋経済』の2/24号

 『週刊東洋経済』の特集は、「貧困の罠」。統計など資料が多く掲載され、役に立つ。 内容は、以下の通り。 サラリーマンの受難  ・あなたにもやって来る「下流」転落シナリオ 藤川 太  ・家計が豊かになる時代はもう終わった 熊野英生  ・義務教育でも負担過大、学力も人生もカネ次第  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う 悲鳴上げる中小企業  ・消費税12万円が払えない!中小零細業者、無念の廃業 追い詰められる弱者  ・生活困窮者を門前払い、北九州市・生活保護“水際作戦”の非道  ・児童扶養手当削減に怯える働きづめの母親たち  ・追い詰められる障害者、「自立支援法」は誰のため  ・ホームレス セイフティネットなき日本社会の遭難者  ・若者たちの生活保護  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う トヨタのお膝元で  ・営業利益2兆円のトヨタを支える下請けとの「賃金格差」  ・豊田市保見団地、日系ブラジル人集住地区の実像を追う 行政改革の帰結  ・自治体予算切り詰めで「最低賃金割れ」労働が多発 地方の疲弊  ・夕張破綻 市立病院を追い出された透析患者たち  ・青森県ルポ 「もうお手上げだ」、リンゴ農家からのSOS 現代版・出ニッポン記  ・「もう日本に住めない」、年金不安が生む日本脱出 億万長者に聞く  ・「日本は成功者を成金とねたむ島国」  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う

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消費支出が大幅に減少した

 2006年の消費支出が3・5%減り、2001年以来の大幅減少だという報道があった。将来不安、政府が社会保障制度を掘り崩す政策をとっている以上、ある程度自衛せざるをえないということだろう。収入も減り、社会保障制度が信じられなくなっている。消費支出減は当然の結果である。  景気は、よくなっていない。    総務省が13日発表した2006年の家計調査(速報)によると、農林漁業世帯を含めた全世帯の1カ月平均の消費支出は、1世帯当たり25万8086円と、物価変動を除いた実質で前年水準を3・5%下回った。現行方式で調査を始めた01年の2・0%減以来、最大のマイナス幅を記録した。  総務省は、所得が伸び悩む中で年金など将来への不安から消費を抑制して貯蓄に回す傾向が強まったことや、暖冬など天候不順で被服費などが減ったため、と分析している。  内訳は、外食が4・4%減と大幅減少したことなどから「食料」が2・2%減。自動車購入などが減ったため「交通・通信」は5・3%減。また、原油価格の高騰が一服したことや暖冬となったことで「光熱・水道」が0・2%減、「被服及び履物」も3・0%減と、それぞれ減った。 http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007021301000501.html

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企業減税と国民生活

 「東京新聞」のこの記事は良い。三点だけあげておく。 ①労働分配率が、、2002念の71%から2006年には65%となったこと。 ②役員賞与は、2001年度の〇・六兆円から2005年度には一・五兆円へと増大したこと。 ③企業は利益をあげているが、それを従業員には還元していないこと。にもかかわらず企業減税して、使用者には「賃金上昇は「経営者に勇気ある対応を求めたい」と言うだけ」であること。 http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20061202/mng_____kakushin000.shtml “上げ潮”給与 遠く 『格差』解消ならず  政府税制調査会(首相の諮問機関)が一日、答申した来年度税制改正は、安倍晋三首相が掲げる「成長なくして財政再建なし」に沿って、企業減税色の濃い内容になった。答申は「企業部門の活性化が、付加価値の分配を通じて家計部門に波及する」と個人にもプラスになると主張するものの「風が吹けば桶屋(おけや)がもうかる」とは限らない。本当にわれわれの暮らしはよくなるのだろうか―。 (経済部・金森篤史) ■理想像  「『成長なくして財政再建なし』の理念の下、経済活性化にかかわる税制を中心に議論し、まとめていただいた」。安倍首相は政府税調の総会で、答申を受け取ると満足げにこうあいさつした。  答申は「経済活性化を目指して」という副題が示すように、経済成長を促す企業税制が中心。法人税の減価償却制度の見直し、ベンチャー企…

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「月例報告」に思う。

都知事四男が『公費出張』という記事が、「東京新聞」にあった(下に掲げた)。石原知事の高額な出張旅費の使途が明らかになっても、ほとんどのテレビ・新聞メディアは批判的な取扱いをしない。あちこちの知事は、公共事業で私腹を肥やし、まさに行政の私物化である。  現代画家として活動する石原慎太郎東京都知事の四男(40)が、都の事業「トーキョーワンダーサイト」(TWS)の活動に関連し、都費で欧州に出張していたことが二十二日、分かった。共産党都議団が会見で明らかにした。同都議団は四男が米ニューヨークでの芸術関連会合に都代表団の一人として参加していたことも指摘し「知事のトップダウン事業に子息が深くかかわるのは都政の私物化だ」と批判している。  同都議団の資料などによると、四男はTWS事業事務局の依頼で二〇〇三年三月十九日から二十六日、パリやベルリンに出張。当時、事務局は能とオペラを融合した企画を検討しており、四男は事前調査として地元楽団の演奏会を聴いたり、ベルリン芸術祭事務局を訪問した。四男は委員を委嘱されていた。  四男の出張費は計約五十五万四千円で全額、都費でまかなわれ、内訳はパリの演奏会チケット約十二万七千円、日当約四万六千円、支度料約三万五千円などだった。  一方、四男が都代表として出席したのは昨年二月十七、十八の両日、ニューヨークで開かれた都市サミット。「都市の公共芸術戦略」をテーマに、十の姉妹都市の代表が参加した。都の代表団は四男など計四人。四男への都費支出はない。  また…

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【本】朝日新聞経済部『不安大国ニッポン』(朝日文庫)

 朝日新聞が2005年前半期に連載していたものを本にした。副題に「格差社会の現場から」と銘打っているように、格差拡大の現状、市場競争の歪みなど、現代社会の矛盾の数々を記している。ところどころに紹介されている統計は有意義である。それらが記されている第一部は「なぜ豊かになれないのか」である。  例えば、日本は1400兆円の個人資産があるが、ほぼ5世帯に1世帯が貯蓄50万円未満で「無貯蓄」に近く、その1400兆円の半分である700兆円が上位1割の富裕地帯に集中している、という指摘がある(p.29)。そしてその富の偏在は「この10年前後で加速」してきたという記述がある。  現在の改革が招いたものである。『朝日』は、この改革を諸手をあげて賛成してきたのではなかったか。  また即席ラーメンの明星食品についてのエピソードがある。2004年夏のことだという。村上ファンドの村上世彰が、明星食品の「まとまった株を取得した」ということで本社を訪れた。村上は「株主への利益還元が必要だ」などとまくしたてた。永野社長は「株価を支えているのは、リストラに耐え、それにもかかわらず従業員が一生懸命頑張ってきたから。頑張った人が報われるのは悪いことではない。」と考えていたが、2004年9月期決算で、減益にもかかわらず増配を決めた。しかし村上ファンドは、株主総会直前12月、保有株をすべて売り、たった5ヶ月間で、配当5000万円以上、さらに多額の売却益を得て去っていった、という。  村上ファンドが行っていることが、小…

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【雑誌】 ニューズウィーク日本版 2006・3・1の特集「下流パニック」

 ニューズウィーク日本版は、「下流パニック」を特集している。  日本のジニ係数でみると、OECDのなかでも所得格差が大きい国である。それについては、もう常識となっている。  今回の特集は、日本は所得格差の激しいアメリカ社会(1978年には、平均的な経営者は庶民の35倍稼いでいた。それが2004年には435倍となった)に向かっているという論調である。その通りと言うしかない。「アメリカの労働人口の多くは、すでに中産階級とは呼べない」という。「格差は、人に命もむしばむ。低所得層が多いアメリカの地方部では覚醒剤の使用者が増えている。ほとんどは交代勤務の工場労働者やトラック運転手、ウエートレスなどの低賃金労働者。できるだけ長時間働きたいから、眠気防止のために覚醒剤に頼っている」とも記しているが、それは日本の現実でもある。トラック運転手やタクシー運転手のなかに、覚醒剤などにはまる人がいるという。  グリーンスパンFRB(連邦準備理事会)前議長は、昨年夏、「総労働人口の20%をしめる管理職の給料が急速に増えている一方、残り80%の平均的労働者の給料は下がっている。」と議会で報告した。これも日本の姿である。現在の小泉・竹中改革は、その方向に日本を変えようとしている(靖国、靖国と主張する日本の宰相ほど、アメリカに従属的である)。  日本の生活保護世帯は、1992年には58万5972世帯、しかし2005年は99万8887世帯。富める者はますます富み、貧しい者は貧しいままで、それが増えている。先日小泉首…

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【統計】家計の貯蓄

 2004年度の全世帯の貯蓄現在高は、平均値1692万円である。但し、平均値を下回る世帯が3分の2(67・6%)、最も世帯数の多いのは200万円未満で、全世帯の13・8%。  勤労者世帯でみると、平均値1273万円である。平均値を下回る世帯が67・9%、200万円未満は16・2%であるという。  統計は、下記でみることができる。 http://www.stat.go.jp/data/sav/2004np/01np.htm    「年間収入五分位階級別の状況」は、しっかりと見る必要がある。  

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【統計】所得税の税率の変化

 税というのは、所得の再配分機能でもあります。累進課税という所得の多い人の税率は高く、低所得の人は低く、というのがあるべき制度である思っています。  しかし、1980年代から最高税率は75パーセントであったものが、70%、60%、50%、そして37%と、高額所得者の税率は減らされてきました。その数字は、下記のサイトで見ることができます。 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/035.htm

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富裕層

 野村総合研究所のNRIニュースレターの2005年10月、38号には「台頭するニュー富裕層」が掲載されている(武藤雅浩・筆)。  それによると、純金融資産が1億円を超える富裕層が、日本に78万世帯、そのうち5億円以上の「スーパーリッチ」が6万世帯、1億円から5億円未満の「大衆富裕層」が72万世帯だという。「スーパーリッチ」層は、「生まれながらの金持ち」だそうだ。  この資料は「金融資産」であるから、それ以外の財産、土地などは入っていない。  そういえば、『週刊ダイヤモンド』1月28日号が「上流社会 下流社会」を特集している。そこには、先の数字の他、5000万円から1億円未満の「富裕層予備軍」が246万世帯いると記している(35頁)。 そして年収1億円以上は9400人いる。『ダイヤモンド』誌は、先の78万世帯と、年収1億円以上を「上流社会」としている。  他方、下流社会として、自己破産申請者24万人、生活保護世帯104万世帯、ホームレス2万5000人が「下流社会」であるとし、「ニート」64万人、「フリーター」213万人を下流と中流の狭間にいるとしている。  そこから、消費の二極化が進んでいるという。  この特集は、現在の状況の断面を記している。それを読んで思うことは、不平等、格差の是正に取り組むことは急務であるということだ。   さて先日「赤い山」について書いた。今日も大井川をさかのぼった。今日撮影した写真を掲げる。

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「民間で出来ることは民間へ」????

 「民間で出来ることは民間で」という、フレーズがよく聞かれる。しかし、民間に任すととんでもないことが起きるということが、次々と出てきている。JR西日本の事故(安全性を無視し、利益獲得に奔走した結果だ)、耐震偽装問題、そしてライブドアのホリエモン逮捕。  これらの事件は、同じところから出ている。すなわち、現在の経済政策からである。 経済コラムマガジンは、この点について、適切な論評を行っている。  http://www.adpweb.com/eco/index.html  若干引用させていただく。ここで「両者」としているのは、ヒューザーとライブドアのことである。 両者には共通点が多い。どちらも規制緩和という世の中の風潮に乗り、業績を拡大してきた。具体的には、ヒューザー社が建築関連法の規制緩和であり、ライブドアが株式分割に関する規制緩和などである。ライブドアの株式分割が問題になり、その後株式分割のルールが厳しくなった。おそらく今後、建築確認についても規制が強化されるであろう。 両者はマンション関連ということでも共通している。ヒューザー社は文字通りマンション販売会社であり、ライブドアはダイナシティというマンション販売会社を傘下に収めた。偶然なのか、地検の内偵捜査を開始したのは昨年の9月と言われており、ライブドアがダイナシティの買収を開始したのがちょうどこの頃である。 両者は自民党というより、小泉政権の中枢に近い存在であった。 両者は、何となく闇の世界との関係を臭…

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ロナルド・ドーアが見るライブドア事件

   『中日』の本日付のロナルド・ドーアの「時代を読む」は、ライブドア事件についての言及である。  イギリスのフィナンシャル・タイムズは「堀江贔屓」だそうだが、「アングロサクソン型資本主義のグローバルな普及を切望している新聞として当然」とドーアは記す。日本のマスコミも、この事件が起きるまではその姿勢をずっと貫いていた。マスコミも「アングロ型資本主義」が好きなのだ。もちろんコイズミ・竹中も同様である。この事件については、批判するかもしれないが、「アングロ型資本主義」への「改革」はどんどん続けるのだろう。  ドーアはこう言う。  「(経団連などは)日本で、ライブドアの商法が当然生まれてくるような、株主重視主義経営を推進する改革派の制度改革に対抗しないで、従業員重視の日本的経営の伝統を守ろうとしなかったこと」が「罪」だ、「日本は株主天下となった。雑誌に「一億総投資家」、「ギャンブラー投資家たちの新しい資本主義」などと手をたたいて喜ぶ記事が現れたり・・・・・・(中略)、その背景にあるのは、改革派が「新しい常識」を作るのに成功したことである。「会社の価値は時価総額でしか測れない」「会社の運命を決めるのは、株主だ」「適時開示義務従業員にでなく、株主に情報を与えることだ・・・・・・と」いう改革派の「常識」がつくりあげられたからだ。  「学者の「資本主義の本質」論に惑わされて、安定株主との持ち合い関係をバックとする従業員重視経営を防衛」しなかったからだと、日本の経営者を詰問している。  最…

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カントと〈お金〉

 『言語』2月号に面白い紹介があった(黒崎政男「月刊ブログ」)。  哲学者カントの「人間学講義録」に次のような記述があるというのだ。  「他者を自分の目的のために利用するには、他者の心に影響力を持たねばならない。手段は三つ。尊敬と暴力とお金である。他者は〈尊敬〉の気持ちはすぐに失ってしまう。〈暴力〉はこれと較べればはるかに確実な手段である。だが、他者に影響力を持つためには、〈お金〉こそ最強で最も確実な手段なのである。」  カントが見抜いたように、〈お金〉、〈お金〉を追い求めて、人は「粉飾決算」はするし、耐震強度を偽装したマンションを販売するし、違法な手段をつかって株価もあげる。  「規制緩和」、「競争」、「民でできることは民で」などと、〈お金〉を求める動きは、新自由主義的改革で激しくなってきている。  そのなかでも、カントの考えを忠実に実行しているのは、政治家である。

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韓国の状況

 ニューズウィーク日本版1/25号に、韓国国民の経済生活の姿が記されていた。韓国は、1997年の金融危機の際、IMFの指導を受け、新自由主義の市場至上主義が持ち込まれている。  韓国も以下のような状況だという。 1. 中流層の減少、貧困層の上昇 高所得階層 +0・7%    中所得階層 -4・6%    低所得階層 +3・9%  中流層の人口は、1997年から2004年までに4・6%減少(3・9%が低所得者層へ、 0・7%が高 所得者層へ移動 2 最下層の所得    1995年 平均所得の41%    2003年        34% 3.貧困層(家族四人で、月収1360ドル以下) 700万人で史上最高。人口の15% 4.上位10%の所得    1995年 平均所得の199%    2003年        225% 5.全労働者にしめる非正社員の割合    2001年  27%    2004年  37% 6 .非正社員の平均所得は、正社員の65%以下 7.資産格差も拡大している。   「経済の不平等が次の世代へと受け継がれていく」  新自由主義経済改革が、それを採用した国々に深刻な較差をつくりだしている。小泉改革は、その改革である。    

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【本】『騙すアメリカ 騙される日本』(ちくま新書)

 余り時間をかけないで読める本である。日本から「富」がアメリカへ移転することに関連する様々なことが書かれているが、やはりもっと数値を駆使して実証的に論じて欲しかった。  内容的には、新しい知識を得るところもあるが、論ではなく実証がこの種の本では求められると思う。  著者の主張は、もっともであり、その主張には賛同するが、何事も他人を説得するためには、根拠が必要である。著者は、現在の日本のあり方に危機感を抱いて、私塾を開いていると言うが、自らの主張を多くの人に伝えるためには、論と共に資料が欲しい。  読んで損はないが、『国富消尽』のようなインパクトはない。

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2006年を迎えて 『国富消尽』を読む

 最近、自治体史の原稿の締め切りが迫っていて、ブログに書き込む余裕がない。実は、今もない。 自治体史の担当分野以外の本は、バスに乗っているときに読むくらいではなかなか読めない。早くこの軛から逃れたいものだ。  昨年の私にとっての重大な事件は、何と言っても小泉圧勝だった。そしてその際、『朝日新聞』が、 それにしても、小泉首相はこれまで見たこともない型の指導者だ。「郵便局は公務員でなければできないのか」「民間にできることは民間に」。単純だが響きのいいフレーズの繰り返しは、音楽のように、聴く人の気分を高揚させる。  という文章を、昨年9月11日の社説に掲載したことだった。選挙中、テレビなどのマスコミのあまりのひどさに唖然としていたときだったので、1930年代のナチスドイツ時代を想起させるこの社説が、そのだめ押しとなった。   マスコミ人は、小泉が好きなのだ。  そこで私は、一冊の本を紹介したい。吉川元忠、関岡英之両氏による『国富消尽』(PHP)である。 日本国民必読の本として、私は多くの人に読んでいただきたいと思う。対米隷従の小泉政権がやろうとしていることの本質が、ここに記されている。小泉改革が、本当に日本国民のためになっているのか、今こそ冷静に考えるべきである。一時の無責任なマスコミの扇動にのってしまった人々は、自らの客観的な状況の悪化にいつか気がつくときがくるとは思うが、その前に是非本書を読んで、目を覚ましていただきたいと思うのである。  内容を紹介するのは時間が…

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下がり続ける平均給与と日米共同作戦

 国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、平均給与(年収)は、1997年をピークにして、ずっと下がっている。    http://www.nta.go.jp/category/toukei/tokei/h16/minkan.htm 1997年   467万3千円 1998年   464万8千円 1999年   461万3千円 2000年   461万円 2001年   454万円 2002年   447万8千円 2003年   443万9千円 2004年   438万8千円  1997年からずっと低下してきている。ということは、その時どのような政策が開始されたか、を見ていけばよい。その時とは、橋本内閣の時である。  消費税が3%から5%になっただけではなく、このときから国民生活の負担がぐっと増大している。自殺者も増加した。  2003年度の国民生活白書には、この頃に起きた経済生活の変化が記されている。  http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/index.html  そしてこの頃から、軍事的な日米共同作戦体制の確立へ向けて動き出していることを忘れてはならない。経済生活の変動(国民生活の劣化)と、日本における平和の危機は、連動しているのである。 1996/ 4「安保再定義」(日米安保共同宣言)=橋本内閣 1996/10 初の小選挙区比例代表並立制選挙(自239、新156、民52、共…

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無貯金者の増加と銀行の大もうけ

 しばらく書けなかったが、再開する。 *********************************** 新聞各社とも、次の記事を配信した。これは『朝日』である。 貯蓄資産ゼロ、最高の22.8% 家計調査、格差は拡大  金融広報中央委員会11月2日発表「家計の金融資産に関する世論調査」の内容である。  「貯蓄を保有していない」(2人以上世帯)が、前年より0.7ポイント増の22.8%で、「記録が残る63年以来で最高」になったという。また単身世帯の無貯蓄比率は41.1%(前年比6ポイント増)で、全世帯での貯蓄を保有していない世帯比率は23.8%(同0.9ポイント増)。  1世帯の平均金融資産(貯蓄)は1085万円で、前年より6.2%増えた。ただ、1年前との増減では「増えた」の20.7%に対し「減った」は45.8%。減った世帯のうち5割強が「定期収入が減り貯蓄を取り崩した」と答えた。 なお報告書の全文は、金融広報中央委員会のHPにある。 http://www.saveinfo.or.jp/kinyu/yoron/2005/05yoron.html  他方で、大手金融機関は大もうけである。貯金しても利息はほとんどつかない。これがずっと続いている。銀行は、ただで資金を借り、それを貸し付けているわけだからもうけるのは当たり前。経営が危機になれば、「公的資金」の投入により救済され、“自己責任”は消え去る(“自己責任”は、貧者にのみ与えられる「政策」であることを…

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労働者冬の時代、割増賃金をなくす!!ホワイトカラーエグゼンプション

 管理職になると残業手当がでない、ある会社は従業員のほとんどを管理職にしてこき使っているという話をきいたことがある。  今度は経団連がそれをしようとしている。  年収額400万円以上のホワイトカラー労働者を労働時間や休日、深夜業にかかる規制からはずそうというのである。つまり、残業手当、休日労働手当、深夜労働手当を払わないようにできるようにしたい、というのである。それを「ホワイトカラーエグゼンプション」というのだそうだ。  経団連は、労働コストをとにかく下げようとしてる。その理由は、ホワイトカラーの労働は「裁量性が高く、労働時間の長さと成果が比例しない」、「「労働時間」と「非労働時間」の境界が曖昧」である、だから「ホワイトカラーの多様な働き方に柔軟に対応可能な労働時間制度が必要」であるというのである。  理由はいろいろあるが、要は割増賃金を払いたくない、払わずに労働時間の「規制」を撤廃してもっと働かせようというのである。労働者にただ働きをさせて、企業だけがもうけようという魂胆。労働者の使い捨て時代がまさに始まっている。  しかしまさかこんな労働基準法「改悪」案が成立することなんかないだろう・・・・・と思うのだが、今の情勢は、ひょっとしたら・・・。  その内容は、下記のHPにある。読んでみて欲しい。  http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042.html

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小泉内閣の生活破壊政策 雑誌を買った(その2)

 『現代の理論』第五号を購入した。特集は「破壊的市場主義を超えて」である。橘木俊詔と森永卓郎との対談も重要なことを論じているが(例えば、小泉首相の「失業が増えてもかまわない」という発言、竹中平蔵の「成長していくためには弱い者、生産性の低い者、競争力のない者、そういったものが市場から退出していくのはかまわない」といった発言の紹介など)、山家悠紀夫の「「改革=生活破壊」の10年」が良い。  それによれば、1996年まで(バブルが崩壊した後でも)上げ潮に乗っていた日本経済を退潮に導いたものは、橋本内閣の「改革」であり、さらにそれを押し広げたのが小泉内閣の「改革なくして成長なし」路線である、という。  山家は、その改革路線の中で、①景気の低迷、②金融機関の経営統合の進展、③大企業の企業収益の改善、④財政赤字の拡大(経済政策の失敗により、税収が大幅に減っているのだ。小泉内閣は財政赤字を増やしている!!)などが進み、その一方で賃金の減少(1997年の平均給与467万円、2003年は444万円、年平均4万円ずつ減っている)、雇用者数の減少(1997年5391万人、2004年5355万人)、非正規社員(パート、アルバイト)の比率アップ(1992年22㌫、2002年32㌫、三人に一人が正社員ではない!『SPA』2005・5・24号によれば、30歳代半ばのフリーターの平均年収201万円。にもかかわらず税率10㌫の所得税は取られている)、さらには利子所得の激減(1990年34兆円、2003年5兆円、ゼロ金利が続く!…

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増税は軍靴の音と共にやってくる

 政府税調が、サラリーマン増税を大胆にうちだした。この後は、消費税の増税が続くだろう。国民生活の犠牲の上に、日米軍事同盟を強化する動きが強まっている。  この路線が確定したのは、橋本内閣の頃からである。1996年 4月、「安保再定義」(日米安保共同宣言)が行われ、同年10月には、 初の小選挙区比例代表並立制選挙(自239、新156、民52、共26、社15、さ2)で、護憲勢力が国会で少数となった。さらに翌年9月には新ガイドライン、そして1999年7月に衆参両院に憲法調査会をおく改正国会法が成立、さらにその年、周辺事態法など新ガイドライン3法、国旗・国歌法、通信傍受法、改正住民基本台帳法など成立した。  このような日米軍事同盟強化と同じ頃、国民生活に大きな変化が起き始めた。   ①毎年上がり続けていた賃金額が、1998年に前年比低下となり、それがずっと続き、実質可処分所得が97年以降、大きく減少している。   ②1998就業者数の前年比減少、つまり非労働力人口が98年以降大幅に増加、同時に失業率も98年以降急上昇している。そして98年以降、正社員が大きく減少し、パート・アルバイトが上昇。  ③1998年から自殺者数が3万人を超えている。その理由は「経済生活問題」にあるという。  ④生活が「苦しい」が1998年52㌫、つまり半数を超えた。  その理由は、1997年度の予算案、これにより国民負担が9兆円も増加したからだ。消費税が5%へ税率アップ、これにより年間8万2000円の負担…

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【本の紹介】相沢幸悦『アメリカ依存経済からの脱却』(NHKブックス)

 私は「憲法改正問題」、あるいは日本外交の問題を考えるとき、日米経済関係をはじめとした日本経済の現状についてしっかりと視野に入れておかなければならないと思っている。特に、現在の改憲問題では、日本経団連をはじめとした財界が、積極的になっているからである。  その意味で、本書を紹介する。  「戦後、日本は、軍事力、軍事・技術と科学・技術、政治・経済の分野で全面的にアメリカに依存する形で経済発展を遂げてきた。アメリ依存経済を続けることで、ある程度は豊かになってきた。しかし、汗水流して働いても、結局、アメリカに円高で利益が吸い取られて、日本国民はいっこうに豊かになれない。円高になると日本は、せっせとアメリカ国債を購入して、アメリカの経常収支の赤字を補填してあげるので、アメリカ国民がいくら過剰消費しても国際収支はバランスする。だから、アメリカは、経常収支赤字体質を改善する努力をしない。ドル暴落の危険性がますます高まる。」(202頁)  たとえば「2004年3月末の外貨準備は約87兆円である。この外貨準備は、1ドル50円までのドル暴落ともなれば、50兆円にものぼる為替差損をこうむる。」(130頁)。政府だけでなく日本の機関投資家もアメリカ国債などを購入している。2003年には154兆9000億円にも上るという。近いうちに1ドル=80円くらいになるといわれているが、もしそのような円高になれば、為替差損は莫大である。  また、日本はアメリカの経営を導入しようとしているが、「アメリカの市場原理主義という…

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MGローバーが消える

 日本でも走っているローバーミニ、それを製造していたMGローバーが解体するという。まず次の記事を見ていただきたい。 *********************************************** MGローバー解体、奈落の底へ 2005年4月18日 イギリスのMGローバーの管財人に指名された、大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパースは17日、同社を解体し、約6000人いる従業員のうち5000人を解雇する方針であることを明らかにした。 上海汽車集団(SAIC=Shanghai Automotive Industry Corporation)との提携交渉が失敗に終わったことから、再建は不可能と判断したため。バーミンガムにあるロングブリッジ工場も閉鎖となり、MGローバーは事実上解体されることが決まった。 さらに経営破綻にともないMGローバー車の販売価格も下落の一途をたどっている。17日付けの英『サンデー・タイムズ』紙によると、MG『ZT』が1万0999ポンド(224万円)と従来価格よりも5000ポンド(102万円)、また、ローバー『75』が1万6537ポンド(337万円)と従来価格よりも6000ポンド(122万円)も安く販売されているという。 ただしMGローバーは経営破綻後に品質保証制度を廃止しているため、オーナーは自分で損害保険などに加入する必要がある。 (http://response.jp/issue/2005/0418/article6992…

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【本の紹介】 吉川元忠『マネー敗戦』(文春新書)

 これは読んだ方がよい。題は「マネー」の敗戦ではあるが、日本はアメリカに戦争に負けただけではなく、マネー戦略にも負けている。負けている、というのではない、どちらかといえば、負けることが有るべき姿である、あるいはアメリカに貢献することが正しいことであると、日本の為政者は思っているようなのだ。売国奴、といえるかもしれない。  なぜ、日本人は、アメリカには怒らないのだろうか。  「世界最大の債権国が経済危機に陥り、その債権国に膨大な債務を負う世界最大の債務国が、長期にわたる好景気を体験するーこれは少なくともこれまでの国際経済の常識を逸脱した現象である」とし、その原因を探るのである。  1980年代からの経済の動向を点検する中で、著者は様々なおかしなことを見つけ出す。債権国からの資本流入が、債務国の通貨建て(つまりドル)で行われるのは、「珍しい現象」であるが、それが行われる。為替差損が生じても、それでも米国への投資をやめない。おかしなことだらけである。  アメリカが日本を陥れるためにつくったBIS規制8%に従う、ドル離れしなければならないときでも、ひたすらドルにしがみつく・・・・・・、もうやってられん。  日本の富が、アメリカに移され、アメリカの戦争、アメリカの海外投資などをサポートする構造、そういう構造を、もっと徹底化させるために行われる「構造改革」・・・・。  無能な日本の金融当局。  「新しい歴史教科書をつくる会」の皆さんに、ぜひ読んでもらいたい本である。こんなひどいことされて「日本民…

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平和憲法と私たちの明日

 4月17日、上記のテーマで講演をする。県西部のある地域での憲法9条の会スタートである。  1990年代後半の国民の経済生活の劣化(2003年の国民生活白書を見てください)と、1996年の日米安保再定義から始まる「日米同盟」の強化・変質(それは憲法改悪、とくに9条2項を標的としたものとなっている)とが同時的に起こっていること、そして現在もその方向性が強くなってきていることを考えると、もし憲法が改悪されたら、もっと国民生活は劣化していくだろうと、私は考えている。おそらく軍事費は増額され、自衛隊の海外派兵は増え、学校では「国防教育」が行われ、様々な部面で国民の負担は増えていくだろう、そして国民に国防義務が課され(自民党の憲法改正案を参照されたい)・・・・・・・、憲法が何とか抑えていた「普通の国家」への支配層の欲望が一気に噴出していくのではないかという危惧を抱いている。  これらのことを、いろいろな統計や資料をもとに論証しようと思っている。つまり改悪されたら、どのような事態(経済生活を含めて)になるかを考え、だから平和憲法は大切なのだと、訴えようと思う。 国民生活白書は、http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/index.htmlにある。

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【本の紹介】谷口誠『東アジア共同体ー経済統合のゆくえと日本ー』岩波新書

 OECD次長などを歴任した外務官僚が、世界三極構造の一つとしての東アジア共同体構築への青写真を、きわめて説得的に論じた書である。ASEANと日・中・韓による経済共同体から政治的統合を視野に入れた共同体が、いかに、21世紀の世界に於いて、同時に東アジアにおいて、また日本においても重要な意味を持つかを、今まで起きた様々な事件(経済危機など)の分析、具体的な数字を駆使して論じたもので、21世紀の日本の未来構想を考える上でたいへん参考になる。  今後の経済発展を見通すならば、アジアは世界経済の重要な「極」になることが確実である。またアジア相互の関係も密接になってきている。昨年、日本の貿易相手国第一位は中国となった。世界の外貨準備高の統計を見ると、もっとも多いのが日本、次いで中国、台湾、韓国と続く。アジア諸国が上位7カ国をしめる(その中に香港もある)。地域における経済的統合が進まないため、それぞれが米ドルを中心とした外貨を保有せざるをえない。そのため、ドル安になると大損するため、せっせとアメリカに投資(国債購入など)している。  また日本は、従来「日米同盟」にひたすら拘泥することにより、世界第二位の経済大国といいながらその力を自ら削いできている。たとえばIMF(アメリカ金融資本が牛耳っている)の出資比率は日本が第二位であるにもかかわらず、日本は一人の「専務理事」も出せないでいる。  ゆがんだ世界経済を健全化させるためには、東アジアが、EUに見習って「共同体」を構築しなければならない。「21世紀の日本…

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経団連会長の発言

 『朝日新聞』2005/3/23付に、奥田経団連会長の記者会見の記事があった。ライス国務長官が米国産牛肉の輸入再開を求めた問題について、奥田は「(輸入規制が)ほかの業界に波及する可能性もある。早期の決着をお願いしたい」と述べたという。「早期の決着」とは、輸入再開を求めるということだろう。奥田はトヨタの会長でもある。  「トヨタにとって、米国市場はなくてはならない存在だ。03年の北米販売台数は、200万台を超え、初めて日本での販売台数を上回った。03年3月期の営業利益1兆2700億円のうち、北米事業で23%を稼ぎ、これに日本からの輸出分の利益が加わる。」(朝日新聞経済部『日米同盟経済』朝日新聞社)。アメリカの市場確保は、トヨタにとって死活的な問題である。  なるほど、である。 *************************************************** 今日は暖かくて良い日であった。久しぶりに家族と共に、花見に行った。桜はまだ2分咲きといったところか。しかし他の花はもう春を告げていた。

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「悲惨な職場」

 『エコノミスト』3/22号(毎日新聞社)は、読む価値がある。  まず第一に、特集「娘、息子の悲惨な職場」である。副題には「正社員になれない、なりたくない若者417万人 派遣、請負、ヘルパー、少数繁忙正社員の実態」とある。  ずっと増え続けていた正社員が、1997年を契機に減りはじめ、それ以降ずっと減少を続け、非正規労働者が増大してきた。同誌によると、今年1月、7年4ヶ月ぶりに正社員が増えたそうだ(しかし、今後も増えていくのかどうか、疑問)。  振り返ってみると、この1997年、98年は、庶民の生活が大きく変わった時期である。労働者の賃金額が減り始め、就業者数も減り始める、増えていくのは自殺者(この頃から3万人を超えるようになる)、「生活が苦しい」という人々。  この時期、庶民の生活が全体的に下降し始めたのである(山家悠紀夫『景気とは何だろうか』岩波新書参照)。現在も、97,98年頃の延長線上にある。  さて、その一つの実態が、この『エコノミスト』に報告されている。非正規労働者の生活である。詳しくは同誌を見ていただくとして、正社員の生涯賃金は2.7億円、フリーターは0.5億円、年間の可処分所得は正社員326万円、フリーターは83万円、年収は正社員が385万円、フリーターは105万円だそうである。これでは人生設計はとてもたてられない。年金納入者が減るわけである。  この背景には、財界の労働コストの削減策があるのだろう。1995年、日経連は「新時代の日本的経営」において、雇用について、①フ…

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