ことば、ことば、ことば

 苦々しい現実が、私たちの前にある。恐ろしい出来事を抱えた過去のついての知識を、私たちは持っている。  8月は、戦争を考える時・・・・・・。  戦争を考える番組がテレビから流され、戦争を伝える記事が、新聞に載る。  そういう報道があっても、現実は目に見える形で平和の方向に向かうことなく、また政治に携わる人びとが、歴史が現在に伝える教訓を学ぼうとしていない、そういう姿も見えてくる。  だが、私たちは、ことばを紡いでいかなければならないと思う。  NHKが深夜(なぜ深夜なのか?)「ヒバクシャからの手紙」を放送していた。ヒバクシャの、ヒバクシャへの手紙が、静かな、しかし強いことばで、原爆の悲惨さ、ヒバクシャに対する差別、平和への祈り・・・・を、必死に訴えていた。  それらのことばは、私のこころに鋭く突き刺さってきた。  ことばには大きな力がある、と思った。  苦々しい現実を変え、恐ろしい出来事の再来を防ぐためには、力あることばを、私たちは探していかなければならない、と思った。  番組で読まれたそれらの手紙を、もう一度読んでみたい。  http://www.nhk.or.jp/hiroshima/tegami/09_01.html    

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NHK“かみさまのいじわる”

 NHKの「かみさまのいじわる」をみた。泣けた。  昨年も長田地区に行って、被災者の話を聞いた。娘さんを震災でなくした方が、やっとあのときのことを語れるようになったといって、いろいろ話してくれた。  15年前、私は震災直後神戸の長田地区に行った。空襲を受けたような瓦礫の街が続いていた。何も出来なかった。何もしなかった。  今、神戸は長田地区も含めて復興しているようにみえる。しかし被災者の心の中には、あの日が息づいている。  「かみさまはいじわる」か?という問いが、この番組でたてられていた。私も、いじわるだ、と応える。  自然災害も、必ず階級性をおびる。必ず富者よりも、貧者に対し、冷酷に、さらに過激に被害を生み出す。そういう現実をつくりだす自然災害を、もし「かみさま」がつくりだすとするなら、私も「かみさまのいじわる」と叫びたい。いや、そういう「かみさま」に怒りをぶつけたい!    かみさまのいじわる なんでえいじのいえ つぶしたんや  えいじのいえつくれ つくられへんねんやったらおかねくれ  こんなこわいじしんするな おぼえとけ おぼえとけ    (室内小学校2年 しおたえいじ ※震災直後の作文)  阪神・淡路大震災震災の1年後、「かみさまのいじわる」という題の1冊の文集が自費出版された。神戸市長田区で被災した子ども達およそ150人の作文や詩、絵が掲載された物だ。 それからおよそ15年。今年11月、長田区役所でこの文集に関するイベントが開催された。…

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障害者たちの戦争

 昨晩、NHK教育のETV特集“障害者たちの太平洋戦争”をみた。  以前、仁木悦子さんによる戦時下の障害者についての本を読んだことがある。それには確か、戦争に動員されずに差別された障害者の姿が描かれていたように思う。  今回は、障害者が戦争に協力した事例、あるいは動員された事例が紹介されていた。障害者の、その障害の特性に応じた動員のされ方があったことがはじめて明らかにされた。静岡県の場合は、聴覚障害をもった小学生が軍需工場に動員されたことが放映されたのだが、これは私が協力したものである。  番組では、吉田裕氏をはじめ三人の方の的確な指摘により、それぞれの事例の意味、どう捉えるか、何を考えるべきかが指摘されていて、よくまとまっていた。  戦争は、「国民」を国家が動員(包摂)するが、そこには必ず選別と排除がつきまとう。選別と排除、そして包摂の主体は、戦争国家の側である。「される側」は、あくまで受け身である。そのことをしっかりと踏まえなければならない。  障害者に対する包摂の事例が、選別(序列化)と排除と組み合わされて明らかにされたことは、とてもよかった。

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NHK  障害者たちの太平洋戦争

 12月6日、NHK教育テレビで、22時から23時まで、「障害者たちの太平洋戦争」が放映される。ETV特集という番組である。  私も協力しましたので、是非見てください。 http://www.nhk.or.jp/etv21c/index2.html

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NHKの「戦争証言」

 1945年に終わった戦争とはいかなるものであったか、実際に戦場に臨んだ元兵士たちの証言を見、聞くことが出来る。  http://www.nhk.or.jp/shogenarchives/  戦争の証言を、私も聞いたことがある。ずっと胸にしまい込んで、しかしいつも心の中から飛び出しそうになっていた戦場の記憶。戦場の記憶が、元兵士を苦しめる。苦しいからこそ話さなかった。しかし年齢を重ね、今話さないと永久に消えてしまう、ということから、元兵士たちがあちこちで話し始めている。  NHKが放映した元兵士の証言を、そのまま見、聞くことが出来る。10月12日まで、自由に見ることが出来るそうだ。是非見てほしい。  もちろん、自らの体験をまったく正確に記憶していることはありえない。様々な体験が入り乱れて、いろいろな体験が分離されたり、あるいは異なる時期の体験が結合したりしているだろう。私たちの日常を想起したときも、同じようなことがある。  しかし、そこには戦場の真実、兵士の真実がある。  もちろん記憶を語るそのことばを忠実に再現すると、そんなことはありえないだろうということもある。矛盾した内容もあるだろう。でもその証言の中からでもある程度の事実をつかみ出すことは可能である。他の歴史資料(防衛研究所などにある史料など)や文献などを駆使すれば、ある程度明らかに出来る。それは私の経験から断言できる。  証言を大切にすることだ。少しの記憶違いでも、すぐそれは事実ではないと、突っ込…

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マネー資本主義にかわるもの

 NHKの“マネー資本主義 最終回 危機を繰り返さないために”を興味深くみた。アメリカを中心として、冷房の効いた部屋で、コンピュータの前でキーボードをたたくだけでカネをしこたま儲けるというマネー資本主義が本当に終焉したのかどうか、いまだ疑問である。マネー資本主義を支えた新自由主義の考え方は、すでに社会の各所に入り込み、そこで生きている。会社でも、学校でも、新自由主義的な思考は、実体として存在し、そのような思考が正しいこととしてまかり通っている。  マネー資本主義を本当に終焉させるためには、それを打倒し、正義と積極的な価値(平等、権利・・・・など歴史の中で肯定的につくりだされた概念)に裏付けられた新しい思考が生み出されなければならない。すでに「公共性」の問題が論じられ、それを研究しただいぶな本も出版されている。  この番組の中で、スティグリッツが国連加盟国を糾合して、新しい経済制度を打ち立てようと提案し、マイケル・サンデルハーバード大学教授が「公共性」を主張し、原丈人氏が「公益資本主義」を提唱するなど、マネー資本主義にかわる思考を押し出していた。  私も、たとえば物づくりのために汗を流して働く人よりも、冷房のきく部屋でPCを前にしてカネを左から右へと動かすだけの人が大金を得るような社会は間違っていると思う。  最近アダムスミスが見直され、とくに『道徳感情論』をもとにアダムスミスの経済学を考える、堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)も出されている。  また日本でも、渋…

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嘘がまかり通る社会

 昨日『現代』9月号を購入した。NHKの番組改編問題について、政治家(安倍、中川)の「政治介入」の決定的証拠が掲載されていたからである。私は、この問題についての『朝日新聞』のそれこそ毅然とした姿勢から、テープがあるな、と思っていた。掲載された「証拠」はやはりテープをおこしたものだ。  政治家もNHKも嘘をついている。まずNHKの側が嘘を言っているという事実に、本当に失望する。少なくともNHKは報道に携わる機関である。その幹部が嘘を言うのであるから、もうNHKの報道機関としての生命は終えたと断じてもよさそうである。  イラク戦の際の、7時のニュースを思い出せば、あれもアメリカ軍の立場に立って、次はどのような作戦を行って、どのように進軍していくかを、軍事評論家とともに推測するというお粗末なものだった。戦争の中で破壊され殺されるイラクの人々に対する顧慮などまったくないものだったと記憶する。  またこの改編問題でも、7時のニュースは、客観的な報道ではなく、NHKの主張を発表する内容であった。もっとも公共性が問われるニュースにしてもこうであるから、NHKの「政治性」は明らかである。  また政治家の嘘にはもう慣れてしまっている。しかしそういう政治家が大きな力をもち、権力の一部を担っているのである。また安倍は次期首相として人気が高いようである。政治家の2世、3世が、権力を握っているのも異状である。通常の人々の感覚を、おそらく彼らは持ち合わせてはいないだろう。政治が庶民から離れていく原因は、ここにもあるの…

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