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【本】伊藤守『ドキュメント テレビは原発事故をどう伝えたのか』(平凡社新書)

 昨年3月11日、東日本大震災に引き続いて福島第一原発事故が起きた。テレビニュースを見ていた私は、あまりに政府発表のみならず、テレビメディアの報道のひどさに唖然として、別のブログ(goo)で原発事故についての情報を流し続けた。    そのブログには、多くの人々からアクセスがあり、私自身も驚いたほどだ。  さて、この本は3月11…
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【本】アーニー・ガンダーセン『福島第一原発ー真相と展望』(集英社新書)

 新聞から、福島第一原発の事故の現況についての報道がほとんどなくなっている。  この本を書いたのは、アメリカの原子力技術者。福島にある型式の原発の建設などに関係していたこともあって、説得力ある筆致で、事故の状況を説明している。  この人の発言は、『週刊朝日』の臨時増刊号、『朝日ジャーナル』にも載っているが、今読むべき本と言え…
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【本】直野章子『被ばくと補償 広島、長崎、そして福島』(平凡社新書)

 時宜にかなった本である。  今後(余りに遅いが)、福島の原発事故で被災した人々には、東電から当然補償金が支払われるだろうが、しかし、広島、長崎の被爆者に対し、政府は誠意ある対応をずっとしてこなかった。できうる限り、金を出したくない(軍人軍属には軍の階級に応じて多額のカネを支給してきたのに)、国家補償をしないという方針のもとに、ヒ…
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色川大吉『若者が主役だったころ』(岩波書店)に寄せて

 この本については、私はほかのところに書いたばかりだ。しかしそこは、運動について書くところではないので、ここに備忘録的に書いておきたい。それは日本共産党のことだ。  色川氏は、当然ながら60年安保闘争に積極的に関わった。そのなかで、日本共産党のありかたに強い怒りをもった。岸政権の強行採決に対する怒りが多くの国民を国会議事堂の周辺(…
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【本】河北新報社『河北新報のいちばん長い日』(文藝春秋)

 3・11の大地震は東北地方を襲った。河北新報社もたいへんな被害を受けた。仙台を中心とする東北地方の新聞ジャーナリズムの担い手として、河北新報社にとって大きな試練がのしかかった。  新聞というメディアは落日に向けて歩んでいると言ってもよいだろう。新聞購読者は減り、また若い人々は新聞を読まなくなっている。アメリカでは、新聞社の経営危…
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【本】高澤秀次『文学者たちの大逆事件と韓国併合』(平凡社新書)

 2010年は、大逆事件と韓国併合が行われて100年であった。100年という区切りの年に、過去に起きた様々な事件を見直してみるというのも、必要な作業だと思う。  本書もその立場に立って、文学的な方面からこの二つの事件を考えようとしてる。  昨日書店によって、この本を見つけた。ちょうど目につき、中身をざっと見渡したとき、「大逆…
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「棄石埋草」(黒岩比佐子『パンとペン』)

 “棄石埋草”は、明治から昭和にかけての社会主義者・堺利彦のことばである。  堺利彦という社会主義者。明治から昭和戦前期まで、多くの(といっても国民の数からすれば圧倒的に少数派ではあるが)社会主義者のなかでも、そんなに人口に膾炙しているわけではない。その堺利彦が、1910年の大逆事件の前後から、社会主義の「冬の時代」の時期に、社会…
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【本】本郷和人『武力による政治の誕生』(講談社選書メチエ)

本郷の本はおもしろい。これこそ実証を重視しながら、自らの歴史像を打ち立てようという意欲に燃えている本だ。本郷も「歴史学とは、一方では史実の確かさを、飽かず検証する振る舞いである。それと同時に他方では、大きな物語の構築に向け、史実の独創的な組み上げに挑みつづける試みであると思う。それを二つながら行ってこそ、歴史学は科学でありながら、夢を語…
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今日は寒い

 朝目が覚めると、家の前の狭い通りを風が何度も音を立てながら通過しているようで、これなら掟も仕方がないと思い、布団の中で読書。  今、ユーゴーの『レ・ミゼラブル』(岩波文庫)を読んでいる。最近人に読むことを薦めたのだが、私はこれをかなり昔読んだので、細かい内容を忘れてしまっていた。そのときいろいろ質問され、こたえられなかったので、…
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【本】町田宗鳳『法然・愚に還る喜び』(NHKブックス)

 法然がいわゆる鎌倉仏教の創始者のなかでもっとも注目すべき宗教家であると、各所で指摘されている。私も、法然がいかなる人物であったのか知らなければならないという気持ちを持ち続けていたところ、この本が目についたので購入した。そして一気に読んだ。知的刺激に満ちた内容であった。  私はとくに信仰を持っているわけではない。先祖の墓が曹洞…
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【本】榎本泰子『上海 多国籍都市の百年』(中公新書)

 上海には二度行ったことがある。ただし、上海は南京へ行くためであったり、また杭州からの帰途に立ち寄っただけで、上海そのものを観光したことは一度もない。  上海がテレビに映ると、そこは私にはまったく見覚えのないところである。だが上海は、日本の歴史を考える上でも重要なところである。  まず魯迅が住み、そこに内山書店があった。そし…
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ことばの力

 長田弘、という人がいる。詩人である。私は、『私の20世紀書店』(中公新書だったか?)から、しばしば長田さんのことばを味わっている。  長田さんが紡ぎ出すことばには力がある。紡ぎ出されたことばの背後に無限大の精神世界があり、その精神世界から、もっとも適切なことばが選ばれて、私たちの前に提示されるからだ。  かつてわが国が植民…
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【本】宮地正人『通史の方法』(名著刊行会)

 これは岩波新書・近現代史のシリーズの一冊として刊行される予定だったという。それだったら、もっと安価になったのにと思う。この本2800円(+悪税)。これでは買えないと思い、図書館で借りた。  良い本だ。私は岩波新書のこのシリーズを一応読み通した。宮地さんは主に第1巻と第2巻を批判している。第1巻については、井上勝生氏の叙述に対して…
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【本】曽根英二『限界集落』(日本経済新聞社)

 岡山県の中山間地域の「限界集落」に生きる人びとを描いた本である。過疎から消滅へ。中国地方をはじめ、中山間地域から村が、そして人びとが消えていく。都市へ出て行く人びと、残った高齢者が次々と亡くなっていく。  岡山県新見市の厳しい現実が詳細に報告される。だが、そこに残る人びと、といってもかなり高齢の人びとだが、残っている人びとのなか…
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【本】石川禎浩『革命とナショナリズム』(岩波新書)

 本書は1925年から1945年までの中国の歴史を記したものだ。この時期に関する私の知識は、10年以上前の段階のものなので、最近の研究を踏まえた本書は記述もわかりやすく、実証的で、私にとって大いに勉強となった。  この時期は、書名にもなっているように、中国におけるナショナリズムが形成・発展していく時期であるが、その形成がまさに日本…
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【本】柴田南雄『日本の音を聴く』(岩波現代文庫)

 柴田南雄は作曲家だ。もう亡くなっているが、柴田のレコードは持っている。「柴田南雄の世界」というような題だったか、今レコードプレイヤーがないので聴くことが出来ない。かなり前に発売されたものだ。  柴田が作曲したものは、日本のアナログ的な伝統を基礎にして、そこに西洋音楽をミックスしたようなものだが、なかなか魅力的なのである。しかし前…
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社会現象は人為的

 大沢真理『生活保障のしくみ』(岩波ブックレット790)を読んだ。560円+悪税であるから、大学生でも買えるだろう。ぜひ読んでほしい。  私は、しばしば、社会現象は人為的なものが多い、とよく言う。自然現象は人間がなかなか変えられるものではないが、社会現象は、自然にそうなったのではなく、人為的に、とくに政治のレベルでの様々な政策でつ…
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【本】クォン・ヨンソク『「韓流」と「日流」- 文化かから読み解く日韓新時代』(NHKブックス)

 とても良い本だ。冷静で理性的な思考にもとづき、日本における「韓流」、韓国における「日流」を、きちんとした材料により、未来志向での分析が行われており、こういう本がいろいろ出てくると、情緒的な対韓認識も良い方向に変わっていくのではないかと思う。  外交は、政府間だけでおこなわれるものではなく、個人個人も外交の担い手になる。そしてもち…
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【本】ファン・ソギョン『懐かしの庭』(岩波書店)

 読み始めて、本を置くことさえ許さない、そういう小説であった。二日間で読み終えたが、布団の上で読み続け、もう眠らなければならないと思っても、活字を追い続けた脳が、それを許さない。  1980年代韓国の激動の時代。その激動の時代を、主人公オ・ヒョヌは生きた。政治犯として指名手配され、地下生活中に一人の女性と出会い、生き、そして逮捕、…
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Hさんへ 

 戦争を描いた小説が読みたい、どんな本を読んだらよいのかと問われました。  私は、いつも五味川純平の『人間の条件』(今、岩波現代文庫にあります)をまず薦めます。Hさんはもう読んだそうですね。    次に、大岡昇平の戦争小説(これも岩波現代文庫にあります)も薦めました。  戦争に関する小説は、日本のものだけではなく、海外の…
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【本】大岡昇平『ある補充兵の戦い』(岩波現代文庫)

大岡の戦争文学の一冊。この本については、川本三郎の見事な解説があり、それに付け加えるものはない。  川本が言うように、大岡は見る人である。何を見るかというと、まず自分自身であり、周辺にいる「戦友」のひとりひとりであったり、時にはミンドロ島の自然であったり、そこに住む人々の家屋や生活であったりする。「時には」を自然や住民たちの生活などに…
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なぜ『故郷はなぜ兵士を殺したか』に否定的な評価をするのか。

私の簡単な書評に対して、「読書能力」や「人格」が疑わしいという批判を受けた。そこでもう少し、なぜこの本に否定的な評価を与えたのか、簡単に説明しておこう。  著者は、「はじめに」で、本書に関するいくつかの問題意識を記している。  「(死者の意義付けをする「主体」として〈郷土〉を挙げ)個人の感情と国家の論理の間で、郷土がどのよ…
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【本】一ノ瀬俊也『故郷はなぜ兵士を殺したか』(角川選書)

この本、いろいろ書いてあるが、あまり目新しいことは書いていない。何を明らかにしようとしているのか、焦点が定まっていない。  明らかにすることは、「死んだ兵士の意義付けと生きた兵士の意義付けは同時並行で、同じ〈郷土〉という主体によって行われた。その過程で、生きた兵士には死んだ兵士に“倣う”ことが要求されていったのである。これを中心…
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【本】髙山文彦『エレクトラ 中上健次の生涯』(文春文庫)

 若いときから、中上健次に関心を持っていた。しかし読まなかった。中上が46歳で亡くなったことも知っていた。しかし読まなかった。  最近、大逆事件に関する本を読んでいて、中上が新宮出身であることを思い出した。新宮は、事件の関係者がいたところだ。新宮には何かあると思って、ちょうどこの本が出たので購入して読んでみた。良い本だ。中上という…
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【本】野見山暁治『遺された画集 戦没画学生を訪ねる旅』(平凡社)

 戦争で亡くなった東京美術学校の学生、卒業生の遺族を訪ねる旅が32。緊張した、ピンと張り詰めた筆致の中に、一人一人の画学生の姿が現れる。  だが、読んでいて、一人一人の画学生の姿が、現れては来ない。文を読んでいるときには、うっすらとその姿が見えてくるのだが、読み終わると消えてしまうのだ。なんか、読んでいてはかない。「はかない」とは…
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【本】樋口雄彦『静岡学問所』(静新新書)

 国立歴史民俗博物館の樋口さんの新著が、昨日送られてきた。樋口さんは、沼津兵学校の研究で大著を現している。沼津兵学校と姉妹関係にあった静岡学問所に関する研究書である。  大政奉還、戊辰戦争のなか、徳川幕藩体制が崩され、徳川宗家(将軍家-徳川家達)は、静岡藩の藩主として、旧幕臣とともに駿河府中(駿府、現静岡市)にやってきた。静岡藩は…
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【本】青山透子『天空の星たちへ 日航123便 あの日の記憶』(マガジンランド)

 早稲田大学の水島朝穂氏から「直言更新しました」という連絡メールがあった。早速それを読んでみたところ、驚くべきことが記されていた。  「日航123便はなぜ墜落したのか」というテーマであった。本の紹介とともに、墜落にまつわる疑問点が5点記されていた。 http://www.asaho.com/jpn/index.html  …
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【本】池谷薫『蟻の兵隊 日本兵2600人山西省残留の真相』(新潮文庫)

 圧倒的な事実の累積の前に、ことばもでない。  山西省で、日本兵が残留を命じられ、中国共産党軍と戦闘を交えたことは知っていた。しかしこれほどであったとは。昨日この本を買って、一気に読んでしまった。ここには、軍隊というものの特質、日本政府など権力者の狡知など、ありとあらゆるものが出てくる。  その、ありとあらゆるものは、残留を…
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【本】宮崎進『鳥のように シベリア 記憶の大地』(岩波書店)

 宮崎進を知ったのは、NHKの「日曜美術館」であった。8月1日と8日に放送された。  宮崎は、もちろん画家である。どんな絵を描くかは、以下のサイトにアクセスしてほしい。 http://www.shin-miyazaki.com/ http://www.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E5%AE…
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【本】ハワード・ジン『爆撃』(岩波ブックレット)

 アメリカの歴史学者・ハワード・ジンさんは、今年1月27日、87歳で亡くなった。ハワード・ジンさんは、『民衆のアメリカ史』(邦訳は、明石書店 日本語に翻訳すると長くなる、上下二巻)の著者として高名であるが、いろいろな歴史的事件が起きたときの適切なコメントは、人間の良心を表すものとして世界から賞賛されていた。  さてそのハワード・ジ…
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