紺谷典子参考人の発言(衆議院 国会議事録)

郵政民営化に関する特別委員会 平成17年07月1日

○紺谷参考人 大きな話の御質問をいただきましたので、大きな話で答えさせていただきたいと思います。
 小泉改革の旗印は、官から民へ、中央から地方へなんですね。ですが、今までのところ、官から民へ、中央から地方へ移転してきたのは痛みだけなんです。負担だけなんですね。改革とおっしゃっておきながら、改革といったら何なんだろうかなと私は思うんですけれども、国民が安心して、将来に向けて明るい展望を持って生きていけるということではないのかなと思うんですね。
 ところが、医療保険改革も年金改革も、国民の不安をあおる。このままでは医療保険はパンクだ、年金ももたない。だから掛金も上げなきゃいけないし、給付も下げなきゃいけないし、窓口負担はふやしますよというような話になっていたわけですね。ところが、医療保険は、国保以外は黒字でございます。政府管掌保険も黒字、組合健保もならせば黒字ということなんですね。年金に至りましては、大黒字なんです。
 公的年金というのは賦課方式が原則でございますから、現在の働き手が支払った掛金を現在の高齢者に分配していく。原理的には、積立金はゼロでよろしいんです。民間の年金は、若いときに働いて積み立てていった分を年をとってからおろすということですから、積立金が足りないという話があっていいんですけれども、厚労省みずから、政府みずから、今は四人の働き手が一人の高齢者を支えているけれども、近い将来、一・五人に一人になるとおっしゃっていますね。これは賦課方式だということなんですよ。賦課方式だということを認めながら、一方で積立金が四百五十兆足りないというのは大いなる矛盾なんですね。民間の積み立て方式一〇〇%のときの計算で四百五十兆足りないとおっしゃる。一方で、賦課方式一〇〇%のやり方で若者の負担がふえるとおっしゃる。両方言わないでくださいなということなんですね。
 そもそも、政府は正しいことを何ら発表していない。つまり、先ほども参考人から、道路公団の会計はようやっと少し明らかになったけれども、ほかの特殊法人はわからないと。そのとおりでございます。特殊法人の会計報告をし、どうしてこんな赤字になったのか、ファミリー企業はどのぐらいもうかっているのかとか、そういうことをきちんと調べて、その責任を追及して、原因は何かということを明らかにして初めて特殊法人改革、財投改革だと思うんですね。
 同じように、医療保険が黒字だということも知らされておりません。しかし、もう七年前に医師会が、財政学者と公認会計士の協力を得まして、医療保険会計をずっと、それこそ連結決算みたいなことをやっていったところ、政府管掌保険は黒字であるとわかったということなんですね。たしか野党が国会で追及なさっていると思います。マスコミがきちんと報じなかったために大問題にならなかったということなんですね。
 年金に関してもさんざん議論いたしましたけれども、百四十七兆円の積立金というのがそもそもうそでございます。共済の年金の積立金の五十兆が入っていない、それから厚生年金の代行部分の三十兆が入っていない。百四十七プラス八十兆の積立金があるはずなんですね。一方、年金の支払い、給付の方に関しては共済の分も入れている、公務員の分も入れているということですから、話のつじつまが合わないんです。
 そういう、きちんと情報開示もしないまま、本当は黒字である医療保険、本当は大黒字である年金の財政危機をあおって、不況の最中に国民を不安に突き落として、それで国民負担をふやし、社会保障を削るということをやってきたんです。そして、それを改革と呼んだわけです。どういう意味で改革なんでしょうか。だれにとっての改革なんでしょうか。私は、財務省のための改革であるというふうに思うんですね。
 小泉総理は、当初、道路特定財源の一般化ということをおっしゃいました。これは、国交省と地方が一般道をつくるために使ってきた資金を大蔵省の支配下に入れるという話なんですよ。道路公団の民営化も大間違いだと思いますね。例えば災害が来たときに、大津波が来たときに、東海大地震、東南海・南海と連動して起こったときに、沿岸の住民が無事に逃げるだけの道路が確保されているのかどうか。国民の安全、生命を守るための道路でもあるということを忘れて、経済性ばかり議論したのが道路公団民営化委員会であったと私は思うんですね。
 何よりも、道路の役割というのは何なのか。採算がとれる道路はつくるけれども、とれない道路はつくらない。道路網と言うじゃないですか。道路はネットワークなんですね。つながって何ぼのものなのに、採算がとれるところが仮にあったとしてそれをつくっても、ネットワークは完成しないわけでございます。採算のとれないところも含めて、道路はネットワークなんですよ。
 そもそも、道路公団の民営化が借金を返すのが目的だったというのが大間違いでございます。国民の安全、安心のために行う改革で国民を不安に突き落としているという現実があるんですね。
 というのは、何よりも小泉改革には将来ビジョンがない。どうしたら国民が安心して豊かに暮らせるかという目標を掲げていない。財務省の言うがままに財政赤字だと言って国民を不安に突き落として、国民の負担を増すことばかりお考えで、だからこんなとんでもないときに、石税調会長があんなことをおっしゃるんだ。財政赤字はどうするんですか、皆さん、高齢化、少子化を控えて、医療、年金、介護をどうするんですかとおっしゃるんですけれども、そんなことを言われても困りますね。私に言わせたらば、財政赤字というのは、不況の最中に緊縮財政をとったり増税してきた皆さん方、財務省及びそのお仲間のせいではないですか。その人に偉そうに国民はどうするんだ、考えろというふうに言ってほしくないですね。
 そういう点から考えまして、これまでの改革と言われてきたものは、すべて財務省の権限の拡大なんですよ。政治家から他省庁まで傘下に置くと言われる財務省です。
 民主党さんもちょっと間違っていらっしゃるかなと思うんですけれども、年金のお金の入り口と出口は別々にしなくてはいけない、だから年金の徴収は国税庁にということをおっしゃっているかと思うんですが、間違いです。間違いなんです。
 何となれば、財務省がそうじゃないですか。税を押さえ、予算を押さえているわけですよ。それだけではなくて、理財局は国有財産及び財投を握ってきたわけです。さらに、金融庁は分断されたなんて大うそですね。金融検査権を持っているんです。さらには、公取まで押さえているわけですよ。しかも、独禁法の改正で、企業に何十億、何百億にもなるかもしれないような罰金を科そうというようなことをなさっているんですね。
 ここに年金の情報まで与えたらば、財務省暗黒国家になるんじゃないかと私は思っているんですね。だって、予算を押さえることで警察庁まで押さえているわけですよ。だから、長野証券局長が、局長だから、権限が広いからといって捕まらないで済んでしまう。権限が広いということは責任も重たいんですよ。脱税から収賄からいろんなことをおやりになった中島さんが捕まりもしない。そういうことでいいんですか。
 公正取引委員会だって、ちょっと大蔵省批判が持ち上がったらば、一番仲よしの検察から人を連れてきた、証券監視委員会も検察から連れてきた。本当に行財政改革をなさりたいんだったらば、大蔵省、財務省がお持ちの権限を分散する、政治の手に本当に取り戻すということじゃないですか。
 橋本行革で経済財政諮問会議をつくったのは、内閣の手に政治を、国会議員の手に政治をということであったと思いますね。しかし、大いに間違っていたと思いますのは、政治の手に政治をということをおっしゃりながら、一部の有識者を集めて暗やみの議論で二十一世紀の行政組織を決めてしまったことです。大いなる自己矛盾であったと私は思うんでございますけれども。ごめんなさい、あと一言。
 経済財政諮問会議は、今や大蔵省の傘下になっているというのは、知る人ぞ知る事実でございます。事務局長は大蔵省と非常に仲よしの先生がおつきになっているわけですね。最近、日経金融新聞なんかを読みますと、大蔵省の方が、いやいや、経済財政諮問会議に邪魔されて、我々の力は弱まっているんですよと言っているんですけれども、大うそでございます。そういううそをついてごまかさなければならないほどに大蔵省の権限が高まっているということです。
 一方、大蔵省は、これだけ税収を減らしながら責任をとらない、金融不安を起こしながら責任をとらない、それで民間の責任だとおっしゃっているわけですよ。そういう、今や財務省ですけれども、やっていたときは大蔵省だったんですけれども。大蔵省、財務省、金融庁も含めてですね、一番権限をお持ちの方の責任を追及していただく、それが本当の改革であると思っております。

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