無神経

 中部電力会社の社員が、驚くべきことを語った。その内容は無神経というしかない。ここに「中日新聞」の記事を引用したが、社員はその場で「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない。今後5年10年たっても、それは変わらない」と話したという。  現時点では、確かに放射線で亡くなった人はいない。しかし、「今後5年10年たっても、それは変わらない」と断言できるのだろうか。私はこの社員には、家族と共に、ぜひ福島県で生活していただきたいと思う。中部電力は、東京電力にこの家族を出向させるべきだ。  また放射線で亡くなった人はいないかもしれないが、生活の基盤を奪われて自殺に追い込まれた人も複数いる。また日常の生活を奪われた多くの人々のことを考えると、不穏当な発言というしかない。  よくもまあ、心ない発言をしたものだ。福島県の避難生活をしている人には、とても容認できる発言ではないと思う。  でもこの社員、中部電力では出世していくのだろう。  政府のこの「意見聴取会」、機械で無作為に選出しているというが、私は作為が入っていると思う。日本政府とそれに高額な開催費用を受けている博報堂は、今までの原発事故の対応からみて、公正であるわけがない。こういう政府であることがまことに情けない。   国民意見聴取、中部電社員が発言  2012年7月16日 22時08分  政府が発電量に占める将来の原発比率について国民の意見を直接聞く3回目の意見聴取会が16日、名古屋市…

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『東京新聞』(『中日新聞』)の社説は、正しいことを書く。

 昨日の「社説」である。多くの問題点を指摘していて秀逸である。 オスプレイ配備計画 政府は沖縄をだますな   2012年6月26日  墜落事故が続く米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが近く沖縄の米軍基地に配備される。「危険な航空機」に沖縄が反発するのは当然だろう。  オスプレイは主翼の両端にある二つのプロペラの角度を変えてヘリコプターのように垂直に離着陸したり、固定翼機のように高速で移動したりできる特殊な航空機である。開発・試験段階で四回墜落し、計三十人が亡くなった。実戦配備後も事故は続き、今年四月にモロッコで墜落して二人が亡くなり、今月になって米国で空軍仕様機が墜落した。 ◆不具合なくても墜落  それでも日本政府は山口県の岩国基地への一時移駐を経て、予定通り八月にも沖縄へ配備する方針でいる。モロッコでの事故について、防衛省は「米国から『機体に不具合はなかった』と連絡を受けた」と途中経過を発表し、地ならしを急いでいる。  米国の説明通りとすれば、不具合がなくても墜落するほどコントロールが難しい機体ということになり、沖縄の不安をかきたてるばかりだろう。不安の背景には「政府は本当のことを言わない」という根深い不信感があることを指摘せざるを得ない。  米政府は十五年も前に沖縄への配備計画を作成した。計画は公然の秘密となり、何度も国会で取り上げられたにもかかわらず、日本政府が公式に認めたのは昨年五月である。強く批判されても仕…

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名張毒ぶどう酒事件の再審について

 名古屋高裁での下山保夫裁判長の判断、「再審を認めず」は驚くべき内容だ。弁護団も検察側も主張していないことを理由にして、再審請求を却下したのだ。  こういう「不意討ち」は、裁判にはあってはならないのだ。  この事件について、今日の『中日新聞』の社説。     名張毒ぶどう酒事件再審認めず “疑わしきは罰する”なのか 2012年5月26日  名張毒ぶどう酒事件の再審を認めなかった決定には、深い疑問が残る。証拠を並べてなお分からないのなら、推定無罪の原則に従うべきではないか。  奥西勝死刑囚を最初に裁いたのは津地裁だった。  裁判員になって法廷にのぞんだつもりで証拠を見てみると、こんなふうになる。 裁判員の目で見れば  ▽ぶどう酒の王冠に付いた歯形は、鑑定では誰のものかはっきり分からない。  ▽その王冠自体、事件当時のものとは違うらしい。  ▽農薬を混入する機会は、奥西死刑囚以外の人にもあった。  ▽「自白」はある。動機は妻と愛人の三角関係を清算するためという(その後、全面否認)。  ▽自白にあった、農薬を入れてきた竹筒は見つかっていない。  証拠をこうしてずらりと並べてみると、裁判員はその中身の乏しさ、あいまいさに、もちろん気づくだろう。  いくら、捜査段階の詳細な「自白」があろうとも、有罪にはできまい。  合理性をもって、彼以外に真犯人はありえないとは言えない。ましてや、死刑事件で…

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なりふり構わない権力の動き

 『中日新聞』(『東京新聞』)は、マスメディアの中で、相対的ではあるが、もっともよい、と私が判断している新聞社である。とくに「特報」欄は、問題となる事柄に積極的に取材をして書いているので、私もよく切り取る。  その中日新聞社(東京新聞社)に、国税の強烈な調査が入っているという記事がある。財務省の意向を受けた野田政権は消費税増税を強力に推し進めようとしているが、『中日新聞』は、正当にもそれを批判的に報道している。  そこへ国税がやってくる。『週刊現代』の記事。「国税が東京新聞を徹底調査する理由」である。 通常国会で消費税増税についての論戦が本格化するなか、永田町と目と鼻の先にある日比谷公園前のビルでは、まったく別の緊張感高まる事態が起きていた。 「昨年夏から半年近くもの長きにわたって、中日新聞グループに名古屋国税局と東京国税局を中心とした大規模な税務調査が入っています。そうした中で東京新聞(中日新聞東京本社)が税務調査に入っている国税官から資料分析のために一部屋要求されたため、一部の社員の間では、東京での〝本格調査〟が行われるのではと緊張が走ったようです」(同社関係者)  複数の同社関係者によると、今回の国税当局の徹底調査ぶりは異常で、同社記者らが取材相手との「打ち合わせ」や「取材懇談」に使った飲食費を経費処理した領収書を大量に漁り、社員同士で飲み食いしていた事例がないかなどをしらみつぶしに調べているという。 「実際に取材相手と飲食したのかどうか飲食店まで確認…

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電気料金の値上げ

 昼食後にテレビを見ていたら、東京電力管内の電気料金値上げのことが議論されていた。  そのとき、数日前の『中日新聞』の社説を思い出したので、紹介する。日本の電力システムには、大きな瑕疵があることが、この社説でもわかる。何らの改革なしに、一方的に値上げなんて、まっぴらごめんである。 電気値上げ 燃料高値買いは背信だ  2012年2月25日  火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)を世界一の高値で買えば電気料金も自(おの)ずと高くなる。唯々諾々と産ガス国の言い値に従い、消費者にツケを回す電力業界の構造は限りなく背信に映る。  東京電力は企業向け料金の値上げ発表に続き、家庭向けも国に値上げ申請する。原発が失った発電能力を火力で補っているため、燃料費が年八千億円以上増え赤字経営に陥るからだという。  日本が保有する原発は計五十四基。福島以外の原発も周辺自治体の反対などで定期検査終了後も再稼働できず、今や動いているのはわずか二基だ。  その結果、日本の総発電量に占める原発の割合は著しく低下し、火力発電は49%から72%へと膨らんだ。東電以外も遅かれ早かれ料金を引き上げるのだろうが、値上げ理由をうのみにはできない。  火力発電にはLNGや石炭、石油が使われ、LNGが四分の三を占めるが、そのLNG調達には不可解な点があまりに多い。輸入LNGの六割は電力向けで、昨年十二月の購入価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり約十六ドル。ところが、欧州は約十ドルで輸入し…

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地方議員のあり方

 地方議会に対する批判の声が強くなっている。阿久根市や名古屋市など、高額な議員報酬をもらい、さらに政務調査費なる大金をせしめて、選挙時だけ頭をぺこぺこと下げ、当選するや睥睨する議員を何度見たことか。  もちろんそういう議員だけではなく、その地域の生活を守るために日夜奮闘する議員、そういう議員は政務調査費も無駄に遣うことはしない。  さて今日の「中日新聞」の社説。「政務調査費 税という自覚あるのか」は必見である。  地方議員の調査研究に自治体が支給している政務調査費は、むろん住民の税金だ。なのに説明のつかぬ使途が後を絶たない。領収書の全面公開などは当然だ。あなたの住む自治体は大丈夫ですか。  年五十四回もの音楽鑑賞(川崎市議)、官能小説購入(福岡県議)、ボクシング観戦(長崎県議)…。全国の自治体が議員に支出した政務調査費の使途が各地で問題になっている。これらは二〇〇九年度分のほんの一例だ。  五万五千円の政調費でボクシング観戦した県議は「生死を懸けた真剣勝負の世界を学ぶのは議員活動に有益」と主張したというから、驚くしかない。  一人当たり月三十三万円まで認めている岐阜県議会では、〇九年度の支給総額一億八千万円のうち領収書があるのは二割余の四千万円分にすぎなかった。  四十七都道府県議会のうち四十議会は領収書添付を一円から義務付けて全面公開するようになった。しかし岐阜などは三万円以上に限り、それ以下なら領収書不要としているからだ。市町村でも、領収書を全面公開し…

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社説の筆力

 私は、新聞社の社説とはその新聞社がその新聞社の知性の総力を挙げて書くものであると思っている。鋭い現実認識と洞察力、そして知性に裏付けられたよりよい未来を見据える眼力が合成されたものであると思う。しかしそういう社説にはめったに遭遇しない。  特に全国紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)の社説は、今日紹介する社説の中で取りあげられている「現実」というものに従うことこそが重要であると説教するものがほとんどだ。そこには知性はない。そこには過去と未来を洞察する力がない。ただ、政治権力がつくりあげた「現実」だけが正統であり、それにおまえたちは従えと声高に叫ぶのみである。それなら社説なんかいらない。  私のブログにも、時々全国紙の社説のような、品のない「批判」が寄せられる。きちんとした批判であったなら載せさせていただくが、ほとんどは口汚い悪罵のたぐいである。仕方がない。マスメディアが、そういう情報を垂れ流しているのだから、情報を吟味し、その真偽をきちんと見極める努力をしない人びとの「批判」は、マスメディアの論調と足並みをそろえるしかない。  さて、次に掲げるのは『中日新聞』の今日の社説である。社説とはかくあるべしの見本といって良いだろう。 現実的と迫る“暴力” 週のはじめに考える  社会的現実は矛盾する諸要素の組み合わせです。表面的な既成事実に固執せず、隠れた部分を探る姿勢、新局面を切り開く努力が前進につながります。  「沖縄の皆さんにとって辺野古はベストの選択ではないが、実…

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内閣改造 「陥(菅)没政権」

 菅直人が内閣を改造した。しかしまったく関心がない。菅民主党政権は、「陥(菅)没」内閣である。国民の生活を破壊し、アメリカにさらに日本の富を提供しようという、日本を「陥没」させる内閣である。  菅直人が、こんなにもダメ人間であったとは。また民主党も、政権交代を引き出した衆議院選挙の際の選挙公約を、こんなにも早くかなぐり捨てて、権力亡者になりはてるとは。  さて、『中日新聞』の社説は陥没内閣になかなか厳しい。当然ではあるが。  「増税シフトなら許さぬ 菅再改造内閣が発足」という今日の社説である。 菅再改造内閣が発足した。二十四日召集予定の通常国会は、政権の存亡がかかる正念場だ。菅直人首相は使命を自覚し、国民のための政策実現に努めよ。  首相にとっては厳しい船出だ。眼前に控えるのは与党が参院で過半数に達しない「ねじれ国会」。野党の協力がなければ予算関連法案を成立させることができない。  今回の改造には、予算が執行できないという決定的な政府の機能不全を避けるため、野党の協力が得られる布陣にしようとする苦心の跡はあるが、これが奏功するとみるのは早計だ。  問責乱用は避けよ  再改造内閣で注目されるのは、仙谷由人氏から枝野幸男氏への官房長官交代と、たちあがれ日本を急きょ離党し、無所属となった与謝野馨氏の入閣だ。  仙谷氏と馬淵澄夫前国土交通相は昨年の臨時国会で、参院で問責決議が可決されており、野党側は両氏が続投すれば、通常国会の冒頭から審議拒否も辞さない姿…

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菅政権にノン!

 『中日新聞』(東海本社)1月8日付の「特報」欄は、現在の政治状況の本質を突いている。  まず、菅政権と岡田幹事長は、口を開けば小沢排除、を叫ぶ。いい加減にしろといいたい。そんなことよりも、就職先がない高校生大学生などを何とかせよ、格差社会を何とかせよ、派遣労働者をなくせ・・・・・国民生活を改善するためにしなければならないことがたくさんあるにもかかわらず、やっていることは小沢排除と、対米従属の深化、大企業向けのTPP参加、法人税の減税等々。  だいたい小沢問題は、検察の恣意的な捜査から始まる。自民党議員が小沢と同じことをしていても捜査されなかったように、小沢に関わるお金の問題は、こんなにもこだわる必要はない事件ではないのか。それに民主党幹部がこだわるのは、一種のパフォーマンスとしか言いようがないのではないか。  「特報」では、現在の菅政権の手法は、「かつての小泉路線と大差ない」と断言する。同感である。  軍事問題では、対米従属化をさらに推進しようとし、「動的抑止力」ということばをつかって、アメリカとの共同作戦を全世界的に展開させようとしたり、沖縄県名護市には「米軍再編交付金」の支給を停止したり、政権交代の意味はいったいあったのかどうか、疑問を持つまでになっている。  また経済政策でも、格差を大いに拡大した小泉政権を踏襲しようとしているとしかみえない。「構造改革路線が進んでいた間、名目国内総生産(GDP)は伸びず、2000年に経済協力開発機構(OECD)加盟国中、3位だ…

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定期試験としての世論調査

 このことについては、前に書いたことがある。最近のマスメディアの報道姿勢は、目に余る。ほとんどのマスメディアが、同じ内容の報道を洪水のように垂れ流す。  現在は、マスメディアは小沢一郎が嫌いなようで、小沢は悪いやつだと、様々な描き方で報道する。描き方は様々だが、方向性は同じである。  こういうような洪水のような報道が目につくようになったのは、小選挙区制導入時の報道(小選挙区導入に賛成しないのは非国民であるかのように報道した)、あるいは小泉選挙の頃だったのではないか。どこも同じ候補者(刺客)を追って、テレビや新聞に同じ人物が大きく取りあげられる。そうなると、その人物について、頭の中にいやでも入ってきてしまう。  新聞、テレビ、週刊誌など、怒濤のような報道を行って、国民がどれだけその報道の影響を受けているか試験する、それが世論調査だ。  こういう報道のしかたについて、自己批判するところはないのであろうか。  http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/74c51745716cb1c298bcc760c68f2860  http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51471737.html  そういえば、今日の「中日新聞」のコラムが良かった。  池波正太郎さんの『鬼平犯科帳』にこんな話がある。放火犯や盗賊集団を取り締まる火付(ひつけ)盗賊改方(あらためかた)の密偵が、同心に手柄を立てさ…

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消費税の増税

 日本国家の財政が悪化している・・・ということで、マスメディアやテレビなどにでてくる大方の評論家は、きわめて安易に消費税をあげるしかないと叫ぶ。しかし、今日の「中日新聞」、そしてそこに紹介されている斎藤貴男氏の著作にあるように、私たちが商品やサービスを購入するときに支払っているはずの消費税が、実際は国庫に入っていないというのだ。それは、消費税そのものの構造にある。  したがって、消費税が逆進性を持つというだけでなく、それ以外にも大きな問題を抱えていることを認識すべきである。  国の税金のうち、最も滞納額が多いのは何税か、ご存じだろうか。答えは消費税。二〇〇九年度に新たに発生した国税の滞納額七千四百七十八億円のうち、消費税はほぼ半分に当たる三千七百四十二億円だ ▼前年よりは約9%減ったが、新たに滞納される国の税金のうち、消費税が占める割合は一九九〇年代後半から四割を超えている。その背景に、価格に消費税を転嫁できず自己負担せざるを得ない中小・零細事業者の存在があるという ▼ジャーナリストの斎藤貴男さんは、自著『消費税のカラクリ』で「消費税という税制の大本に無理がある」と指摘、税率をさらに上げれば、小さな自営業者は倒れ、社会は大混乱に陥ると警鐘を鳴らしている ▼民主党代表選はこの土日、厳しい残暑の中、街頭で舌戦を繰り広げた。前のめりの増税論で惨敗した参院選に学んだのか、菅直人首相はこれまで「社会保障の財源としての消費税のあり方を議論する」程度の表現にとどめ、踏み込んだ主張はしていない …

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格差問題の解決を

 昨日の「東京新聞」社説、「所得格差拡大 放置すれば社会は衰退」を掲げさせてもらう。  すでにこのような現状は新聞やテレビ、本などでしばしば報道されている。しかし未だ何の解決も見ていない。政府が行っている政策のほとんどは、格差の底辺にうごめいているひとびとを置き去りにしたものだ。車やテレビなどを購入すると、エコポイントがくる、ということで、ある程度の余裕のある人はこの経済政策の「恩恵」にあずかっている。しかし、非正規の低所得のひとびとは、この「恩恵」をつかえない。  たとえば、自家用車であるが、1998年以前の車を持っていると、自動車税が10%増税される。買い換えを促進させているということだが、しかし車というのは最低でも100万円くらいするだろう。そういうお金がないひとが増税にさらされる。自家用車を贅沢だと思う向きもあるかもしれないが、地方都市では自家用車は必需品である。  麻生政権がはじめたばらまき政策は、中程度の所得階層と、企業に「恩恵」を与えるものだ。  企業がひとびとを、非正規ではなく、正規労働者として雇用するような法整備が必要だ。企業に対する法人税の減税が主張されているが、労働市場の動向を見ると、企業は正規労働者は雇用したくないようだ。法人税は払いたくない、輸出品に対しては消費税の戻しをもらうなど、勝手なことをしているのが企業である。  企業に対する公共的な規制を強めることが求められている。そういう政策をとらないかぎり、格差問題は解決しない。  今…

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八月一日 「中日新聞」社説。

 今日の「中日」の社説は、格調高く読ませる内容だ。「朝日」などの全国紙社説担当者は、こういう格調高い、内容のあるものを書けなくなっている。 17歳の決意に応える 2010年8月1日  負の遺産を背負って生きる覚悟がなければ、未来を切り開くことは困難でしょう。沖縄の少女が表明した決意は、本土の人々にも原点回帰を迫ります。  戦争放棄と戦力不保持を定めた日本国憲法第九条を、日本各地の方言で表現したCDが、大学一年生、十八、九歳の若者約百人の前で再生されました。  その地域を象徴する祭りばやしや雑踏の騒音などに続いて「方言第九条」が流れます。津軽、岩手県水沢、名古屋、京都、大阪と南下し、一段とにぎやかなせみ時雨が響きました。  その瞬間、「次は広島」と当てたのは一人でした。 ◆忘れられつつある過去  戦争-暑い夏-原爆、あるいは敗戦記念日…高齢の日本人には当たり前の連想が、若者には当たり前ではありません。原子爆弾を意味する“ピカ”や“ピカドン”は死語になりかけています。  原爆を落とされ、太平洋戦争が終わってから六十五年目の八月を迎えました。広島、長崎の原爆死没者名簿には既に計四十万人以上が登録され、毎年八千人以上が追加されます。戦争の傷跡もさまざまな形でまだ残っています。  しかし、過去は日本社会でも急速に忘れられつつあるように見えます。  9・11テロの直後、米国のアフガン空爆を支持した日本政府の立ち位置やまなざしは、B29で日本中をじゅうた…

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とにかく買う防衛省。

 国家財政が赤字だ赤字だと叫ぶ政府。消費税を10%にしなければならないと叫ぶ菅首相。法人税を下げると言明する菅さん。しかし、政府は、日本の法人税は保険料の負担分などを考えると高くはないと言っていたはず。  「中日新聞」が昨日の朝刊で、以下の報道を行った。カネがなくても、買うの!!!!こんなに高額なものを。  日本政府は赤字財政でも、とにかくアメリカ軍需産業に奉仕しなければならない。  この記事に三社の戦闘機が記されているが、おそらくアメリカが薦めるものを買うだろう。欧州共同開発のものには、絶対にならない。  安保体制=日米同盟というのは、日本が「属国」として、アメリカに貢ぎ続けるということでもある。ソニーが赤字でも最高経営者に巨額の報酬を払うことと同じだ。ただそのカネの出所が、ソニーは企業の売り上げなどからであり、日本政府は税金からという違いはある。あ~あ・・・・  記事は、「次期戦闘機の予算計上へ 来年度防衛費、数機分」というものだ。  次期戦闘機(FX)の選定作業を進めている防衛省は、来年度の防衛費にFX数機の購入費を盛り込む方向で最終調整に入った。総額一兆円近い「巨大航空商戦」の入り口となる機種選定には、米政府の意向や防衛産業の思惑が複雑に絡む。菅政権にとって「第二の普天間問題」ともいえる難問となりそうだ。   候補機種は当初の六機種から、米国のF35(ロッキード・マーチン社)、FA18E/F(ボーイング社)、欧州共同開発のユーロファイター(BA…

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指定管理者制度をなくそう。

 今日の「中日新聞」に「指定管理者の問われる危機管理 県内の施設で事故相次ぐ」という記事がある。日本は公務員の数が少ない「小さな政府」になっていることは、様々な統計を見れば明らか。にもかかわらず、新自由主義に染まった政治家や官僚は、公務員をとにかく減らせば良いという考えから、いろいろな制度を編み出した。指定管理者制度もそれだ。記事に見られるように、事故が相次いでいるという。ならば、県直轄にすればよい。金儲けではなく、それぞれの施設がその目的を達成できるように、適切で十分な数の職員をおくべきだ。人件費削減を目的とした制度導入により、このような犠牲者が出たのであるから、根本的に指定管理者制度を考え直すべきである。  浜松市北区の浜名湖で、「県立三ケ日青年の家」の野外活動に参加していた中学生らのボートが転覆し、女子生徒1人が死亡した事故は、湖上で動けなくなったボートをえい航する際のマニュアルがないなど、指定管理者の危機管理体制の不備が明らかになっている。今回の惨事に限らず指定管理者制度を導入している県の施設では事故が相次いでおり、制度のあり方を問う声も上がっている。  県は2004年度から文化・運動施設などの効率的管理を目指し、指定管理者制度を導入。4月1日現在、44施設の運営を民間に委託している。  こうした施設で事故が相次いでいる。昨年4月には県営草薙総合運動場体育館(静岡市駿河区)で、男性会社員が折り畳み式バスケットゴールの支柱に首を挟まれて死亡。同10月には総合複合施設「…

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社民党の政権離脱

 社民党が、今回の普天間基地閉鎖・辺野古新基地建設問題で、政権を離脱することになった。党首である福嶋さんが罷免されたのであるから、これは致し方ないことだ。ここで政権にぶら下がっていることになると、何のための連立政権であるか。少しでも、自らの政党の政策を実現する、そのための政権参加だったはずだ。とくにこの問題は、決して譲ることが出来ない大原則の一つである。  もし離脱せず、考え方が異なっていても権力にくっついて何らかの利益を得ようとするのなら、社民党に対する信頼は一挙に失われるだろう。すでにこの点で、社民党には前科がある。もう二度目は許されない。  福嶋さんがブログで、きわめてわかりやすいことばで、なぜ署名できなかったのかを書いているが、それは当然である。  http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/  しかし、この問題は我々に突き返されたことになる。今日の「中日春秋」を全文掲載させていただく。ここに記された目取真氏の主張に真摯に耳を傾けるべきである。  敗戦間近の一九四五年八月十二日、米内光政海相は側近にこんな言葉を漏らしている。「原爆とソ連参戦はある意味では天祐(てんゆう)だ、憂慮すべき国内情勢を表面にださずに戦いをやめることが出来れば、寧(むし)ろ幸いである」 ▼戦後、明らかになった和平派の本音である。広島、長崎の被爆者、満州棄民の犠牲がなければ、本土決戦を呼号する陸軍は、頑強な抵抗をやめなかったのだ ▼米軍普…

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今日の社説(「中日新聞」) 沖縄のこと

  今日の「中日新聞」の社説、“「抑止力論」の呪縛 週のはじめに考える”は、説得力ある、内容的にもよいものである。  全国紙が軒並み、自公政権が決めた内容で辺野古に新基地の建設を促すようなことしか言えないとき、そのために鳩山首相を非難するとき、このように建設的な意見を提出するブロック紙があるのもよいことだ。もちろん「琉球新報」や「沖縄タイムス」は、正論を日々発しているが、本土の新聞の中でも、こういう正論を主張する新聞がもっともっと出てくるべきだ。  きのうは沖縄返還記念日でした。本土復帰から三十八年。今も在日米軍基地の約75%が集中する現実は日米安保体制の在り方を厳しく問い掛けてきます。  政権発足当初は70%台と高い内閣支持率を誇った民主党政権ですが、八カ月がたって支持率は20%台に落ち込み、青息吐息です。  その大きな要因の一つが、米軍普天間飛行場の返還問題であることは疑いの余地がありません。  当初は「沖縄県民の負担軽減」「最低でも(代替施設の)県外移設」と勢いづいていた鳩山由紀夫首相も、今では「県外は現実的には難しい」と完全に白旗です。  公約守れぬ言い訳  首相は国外・県外移設が難しい理由に「沖縄に存在する米軍がすべて連携し、抑止力が維持できるという思いに至った」ことを挙げましたが、説得力はありません。  むしろ、公約を守れなかった言い訳に、抑止力という概念を持ち出したというべきでしょう。  自ら設定した「五月末決着」という期限も先送りさ…

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今日の新聞(「中日新聞」)から

 「中日新聞」の読書欄に、「テーマを読み解く」というコーナーがある。今日は「日韓関係」として李鐘元立教大学教授が書いている。その冒頭を引用させていただく。  「帝国」とは、人々の移動をも意味する。日本の支配が拡大するにつれ、多くの人が国境を越えて、「大東亜共栄圏」に散らばっていった。日本人と朝鮮人をともに巻き込んだ奔流は、帝国の支配と戦争という構造の中で渦巻きとなり、「加害」と「被害」が錯綜する歴史の残骸を残した。  そして高崎宗司氏の『植民地朝鮮の日本人』(岩波新書)、『朝鮮の土となった日本人ー浅川巧の生涯』(草風館)、内海愛子氏の『』キムはなぜ裁かれたかー朝鮮人BC級戦犯の軌跡』(朝日新聞出版)を紹介している。  この三冊は、日本人必読の本である。ぜひ読むことを薦めたい。  ところで、引用した箇所は、私が常々主張していることである。  自治体が編纂している自治体史、これはいわば自治体の「正史」でもある。日本近代からの歴史は、「帝国」の観点から叙述しなければならないのであるが、自治体史には「帝国」がない。戦争はあっても、動員されたり、空襲があったりする「被害」の観点からの記述がほとんどである。それを書くなというのではない、そうではなくたとえば兵士として動員された住民が、「帝国」の担い手としてどうであったのか、あるいは地域の土木事業に従事していた労働者に植民地からのひとびとはいなかったのか、なども、当然書くべきではないか。  自治体史に「帝国」が欠如…

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「“公約”破り「恥を知れ」」

 タイトルは、今日の「中日新聞」の社会面の見出しである。どの面下げて沖縄に行けるのか。県民が怒るのは当然だ。ふざけんな!と叫びたい。  今日の「中日新聞」社説に、その通りと賛同する。 首相沖縄初訪問 今さら「県内移設」とは  鳩山由紀夫首相が沖縄県を初めて訪問し、米軍普天間飛行場の県内移設の意向を明言した。公約破りは明白だ。「国外・県外移設」を託した沖縄県民をはじめ国民を裏切るもので到底看過できない。  首相は仲井真弘多沖縄県知事に「県外は現実的には難しい。沖縄に負担をお願いしなければならないという思いで来た」と語った。  首相は衆院選で「県外が望ましい」と公約。党首討論では「腹案がある」と断言し、「命懸けで行動する。必ず成果を挙げる」と大見えを切った。  そんな首相から、今さら県外移設の難しさを聞かされるとは、知事も思っていなかっただろう。  首相はその理由を「日米同盟や抑止力の観点から難しい」と説明したが、米側が抑止力維持を理由に県内移設に固執するのは最初から分かっていたはずだ。なぜ今さら言い出すのであろうか。  首相は記者団に「学べば学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍がすべて連携し、抑止力が維持できるという思いに至った」と語った。  公約は浅慮からだというのか。結果的に国外・県外移設は選挙目当ての甘言だった。国民を欺いた首相の政治責任は極めて重い。  在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民の基地負担軽減や、普天間飛行場の国外・県外移設…

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5月3日 中日新聞社説

 憲法記念日の社説、最近は全国紙の質がどんどん落ちている。ブロック紙や県紙に秀逸のものが書かれる。全国紙の筆力や理念の劣化が顕著である。  「中日(東京)新聞」、今日の社説は秀逸である。   憲法記念日に考える 初心をいまに生かす2010年5月3日  長い戦争から解放され、人々は新しい憲法を歓迎しました。その“初心”実現に向けて積極的理念を世界に発信できるか、日本の英知が試されます。  米軍普天間飛行場の移設問題が迷走し、憲法改正国民投票法の施行が十八日に迫る中で今年も憲法記念日を迎えました。この状況は非武装平和宣言の第九条をとりわけ強く意識させます。  日本国憲法の公布は一九四六年十一月三日、施行は翌年五月三日でした。当時の新聞には「日本の夜明け」「新しい日本の出発」「新日本建設の礎石」「平和新生へ道開く」など新憲法誕生を祝う見出しが並んでいます。  新しい歴史を刻む息吹  長かった戦争のトンネルからやっと抜け出せた人々の、新たな歴史を刻もうとする息吹が紙面から伝わってきます。新生日本の初心表明ともいえるでしょう。  あれから六十年余、日本は武力行使により一人も殺すことなく、殺されることもなく過ごしてきました。憲法の力が働いていることは明らかです。  しかし、現代日本人、特に本土に住む人たちの胸には先人の思いがどれほどとどまっているのでしょう。少なくとも国内は平和で、戦争を体験した世代も少なくなり、憲法の効果を日常的に意識することはありません。憲法…

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中日新聞よ、さようなら。

 明日から新聞のない生活が始まる。ずっと新聞を購読しながら生きてきたわけだから、初めての経験である。まあしかし、利権権力の走狗となった新聞を、あえて購読することもないだろう、それもお金を支払って。そのお金が、利権権力の側に渡るのであるから、なおさらである。  「中日新聞」にも、批判が多く寄せられているのであろう。昨日から、東海本社版の「中日新聞」には「関係者」関連の記事はなくなった。しかし今日、東京本社社会部長・佐藤敦氏による「「リーク批判」に答えて」という文章が第二社会面に載っている。 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010013102000052.html  まず最初に、リーク批判の記事に対する批判が多いことを指摘する。健全な精神をもった購読者が多いことがわかる。  次に、守秘義務を持った官公庁取材はたいへんであること、それでも「国民が知るべき」ことを報道するために、「守秘義務」と闘っていることを記す。  そして、メディアが「情報操作」に利用される危険性を持っていることも認識しているから、「多角的な取材」のために記者は努力しているという。  そうかもれないし、そうでないかもしれない。すべての記事について検証できないから何ともいえない。ただし、さいきんの記事、とくに官公庁からの記事は官公庁の発表、それはほとんど横書きだろうが、それを短く縦書きに書き直したものが多いということに私は気がつい…

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失望の「特報」欄

 「中日新聞」には、「特報」欄がある。時によい記事があり、ジャーナリズムが生き残っておるな、などと思っていた。しかし今日の「特報」、「問われるメディア力」には失望した。  私はもう十年以上前になるが、ペンネームで『マスコミ市民』や『創』などに、新聞についていろいろ書いていた。しかし、新聞について評論することにむなしさを覚え、それから新聞についていろいろ考えることをやめた。今までとっていた『新聞研究』などもその頃やめた。もう新聞について書くことはやめようと思った。  しかし今、私は新聞について書いている。今は書かざるを得ないので書いている。なぜか。怒っているからだ。いや絶望しているからだ。  若い人に、新聞は読みなさいよ、などと話していたのだが、最近はそんなこととても言えない。私個人が新聞の購読をやめようと思っているからだ。  果たして、現在のような絶望的な状況は、改善されうるか。否!!  「特報」では、もと検察担当記者の「中日」(東京)の記者たちから聞いたことを紙面に載せている。その結論は、「独自取材を並行し記事に、“だだ漏れ”考えられぬ」である。  なるほど、時々独自の取材をしていると思われる記事もある。たとえば、26日の夕刊の記事、「陸山会事件 「紙袋手渡し2度同席」である。水谷建設が小沢氏側に資金提供をしたとき2度同席したことがある」という内容だ。同席したのは、兵庫県内の建設会社社長。記者はどこから聞いたのか。「関係者への取材で分かった」のだそうだ。水谷建…

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今日もまた

 「中日新聞」夕刊。今日も「水谷建設「別に2000万円も提供 小沢氏側に選挙陣中見舞い 元経営トップ供述」という記事が載せられていた。  まずこの記事は、「関係者への取材でわかった」とあります。「関係者」って誰?そして「元経営トップ」は、今どこにいるの?この「関係者」からの取材の後、「元経営トップ」に会って、「関係者」が話したことの真偽を確かめたのでしょうか。  まさか「元経営トップ」は、刑務所など不自由なところにいて、そこで検察に話しているのではないでしょうね。そうであったら、著しく信憑性は低くなりますが、どうでしょうか。  もしこの記事に書かれている内容が、嘘だったら、これを書いた記者さんはじめ、この記事を掲載するに至った人びとは、当然責任をとるのでしょうね。なぜなら、もしこれが嘘であったら、嘘によって小沢氏側がダメージを受けるわけですから。嘘の記事でダメージを与えるなら、それは「社会の公器」としての新聞の存在価値がない、ということになります。  もしこれが事実であったとしても、この記事には問題が多い。記者は、もっと掘り下げた記事を書くべきだ。  水谷建設の「元経営トップ」は、  2004年 10月  5000万円(東京都内のホテル)  2005年 4月  5000万円(東京都内のホテル)        9月   2000万円(盛岡市内のホテル)    計1億2000万円を渡したと言っているそうだ。 ならば、なぜ渡したのか。その金はどこか…

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根本から考え直すとき

 今日の「中日新聞」社説は、「09年の終わりに考える 普天間と日米の絆」である。一面同意できるが、同意できないこともある。  日米安全保障条約の改定から来年で五十年になる。普天間飛行場の返還が懸案だが、この問題をめぐる議論を、日米が「絆(きずな)」を強める契機にすべきだ。  果たして、日米の絆を強めるべきなのか。もちろん友好関係は維持すべきではあるが、絆を強化するかどうかはアメリカの動向や日本の立場・主張をきちんと踏まえた上で判断すべきであって、最初から「強める」ことはどうなのか。  オバマ政権が始めたわけではないが、イラクやアフガンへの侵略(アフガンにはオバマ政権は増派までしている!)、イスラエルに対する強固な支持・支援など、アメリカの行動には支持できないことが多い。そういうアメリカとの絆を、何の前提もなしに「強める」とは如何なものか。  一九四五年、日米両軍が激しい戦闘を繰り広げた沖縄戦有数の激戦地「嘉数の丘」の眼下に、米海兵隊普天間飛行場は広がる。沖縄県宜野湾市の中心部に位置し、市街地がドーナツ状に取り囲む。  二〇〇四年には隣接する沖縄国際大学に大型輸送ヘリが墜落。世界で最も危険な飛行場ともいわれ、離着陸時の騒音もひどい。  米軍占領と同時に接収が始まった。九割以上が民有地だ。 ◆負担軽減にならず  普天間返還が日米間の懸案に浮上した直接のきっかけは、九五年に起きた米海兵隊員三人による少女暴行事件だ。  沖縄県民の反基地感情の高まりが、…

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「中日新聞」きょうの社説とコラム(中日春秋)

中日春秋 2009年8月15日  世界中から年間約百二十万人もの人が訪れ、アジアからの来訪者が年々増加している世界遺産がある。答えはポーランドの国立アウシュビッツ博物館。広島の原爆ドームと並ぶ人類の「負の遺産」だ ▼日本人で唯一の公式ガイドを務める中谷剛さん(43)はポーランド人の元収容者の言葉を来館者によく紹介する。「君たちに過去の戦争責任はない。ただし、将来それを繰り返さない責任はある」。戦争を知らない世代の胸に響く言葉だ ▼沖縄の「ひめゆり平和祈念資料館」の語り部の女性たちが、次世代に語り継ぐ方法を探るためにアウシュビッツを訪れたのは六年前。自分の言葉で語る中谷さんの姿に勇気づけられたという ▼若きひめゆり学徒たちを戦場に引率した故仲宗根政善琉球大教授は、四十年前の日記に「憲法から血のいろがあせた時、国民は再び戦争に向かうだろう」と書いた ▼近ごろ、首相が主宰する「安全保障と防衛力に関する懇談会」が、専守防衛の基本政策を見直す報告書を提出したが、平和主義の転換を促す提言から、憲法に染み込んだ血の色は想像できない ▼当然ながら戦争体験者は年々減っていく。戦後六十四年の総選挙で、戦争を肌で知る議員もごく少数になるに違いない。無名の庶民が絞り出す言葉をしっかりと受け止め、記憶の風化にあらがいたい。いまを新たな「戦前」にしないために。 http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK20090815020…

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いません!!

 「いません!!」は、今日の「中日新聞」社説への応答である。  最近の政治家は、「世のため、人のため」に政治への道を歩むのではなく、自らの「豊かな生活」と自尊心を満足させるために立候補し、当選したら富裕層のための政策を推進するという者が多い。  これが今日の社説である。テーマは、「週のはじめに考える 古人のたまわく」である。  昔の人の言葉には味わいがあります。今の世相を見ればどうでしょうか。混乱、混迷する政治や経済、社会のありさまを古人の名言で解説してみました。  中国明代末期の洪自誠による人生指南の書「菜根譚(さいこんたん)」に次のような一節があります。  「人の小過(しょうか)を責めず、人の陰私を発(あば)かず、人の旧悪を念(おも)わず」  「人のささいな過失をとがめたりせず、人の隠しごともあばきたてたりせず、人の過去の悪事をいつまでも覚えたりしない」という意味です。言葉を換えれば、人を許す心とでも言いましょうか。  犬馬難し。鬼魅最も易し  同書が書かれた三百数十年前から現代ではどうでしょうか。人の小さな過失を責め立て、個人的な秘密を暴き、古傷に触れてはやし立てる。週刊誌の記事やテレビのワイドショーにはそんな事例があふれています。いやいや新聞だって変わらない、という耳の痛い指摘もあります。  泥酔して全裸になったアイドルグループの一人が逮捕されたときは、大騒ぎとなりました。スポーツ紙の一面を派手に飾った女性タレントの離婚劇もあり…

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憲法記念日、「中日新聞」の社説

 今日は憲法記念日。日本国憲法について、じっくりと考える日でもある。テレビでもNHK教育(ETV特集)で「いま憲法25条 生存権を考える」が放映される。これもじっくりと見たい番組である。 http://www.nhk.or.jp/etv21c/  さて今日の「中日新聞」の社説をここに掲げる。 忘れたくないもの 憲法記念日に考える 2009年5月3日  寒空の下のテント村が思い出させたもの、“北”をにらむミサイルが忘れさせたもの…いずれも憲法の核心です。いまこそそれを再確認しましょう。  東京の都心、日比谷公園に仕事と住居を失った五百人以上ものテント村ができたのは、昨年末から今年はじめにかけてでした。市民団体、労組や弁護士らが企画した「年越し派遣村」は、「百年に一度」といわれる経済危機の中、この国で起きていることをだれの目にも見える形にしました。  それは、“一億総中流”の幻に惑わされて多くの日本人が忘れかけていたものを、思い出させてくれました。 生存権の保障は自前  「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(日本国憲法第二五条第一項)-第二項は国に社会保障、福祉の向上、増進を命じています。  改憲論者から押しつけと攻撃される憲法ですが、生存権を保障したこの規定は衆院の審議で追加された自前の条項です。  第一三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については(中略)国政の…

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ロナルド・ドーアの批評

 「中日新聞」に月一回程度掲載されるロナルド・ドーアの評論は、まことに適切である。  ドーアは、「もし私が切られた派遣労働者だったら、危機対策の予算配分を問題にするだろう。56・8兆円のうち、雇用対策費(国費、事業費も含めて)は4・4兆円、金融対策費はその十倍の44・8兆円である。その数字を見て、失業者たちは「麻生政権の関心の優先順位がそんなものか」と怒るだろう」と記す。  その通りである。自公政権の頭にあるのは、選挙で勝利すること、そのために国民に少額をばらまき、それによって支持をつなぎとめ、検察を使って民主党の人気を落とし、自分たちの利権と関わりある金融に対しては多額の国家予算をつかって援助する。自公政権は、官僚とぐるになって、既得権と利権を確保するためにやっきになっている。  その目には、失業者ははいっていない。少しの対策費を出すだけだ。  問題は、日本人があまり怒らないことだ。ドーアの主張と異なるのは、「怒り」が表面に出てこないことだ。  そしてドーアはもうひとつ指摘する。「よその国で、貧困・再分配の問題が政治論争の主要軸になるのに、日本ではそうならない」と。  「いたるところで、フリーター組合をつくったり、不当解雇を法廷で争ったりする草の根の抵抗が起こっている。ところがそれに手を伸ばしているのは、民主党支持の連合ではなくて、体制外の全労連である。その不満をくみ上げて地方の政党支部にその人たちを組み込もうとしているのは、今度天下を取るつもりでいる民主党で…

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「中日新聞」の“農は国の本なり”の連載記事

 食の安全を含む食糧問題、先進国では異常に低い食糧自給問題と密接な問題として農業問題がある。農業後継者問題を考えると、はたして20年後、30年後の日本農業はどうなっているだろうかという危惧を抱くのは私だけではあるまい。農業だけでは食べていけない、という状況がつくりだされてから、いったい何年たっているのだろうか。輸出産業最優先の日本の産業政策の陰で、うち捨てられていった日本農業。  今、「中日新聞」が“農は国の本なり”として、日本の農業問題に切り込んでいる。問題意識に満ちた連載であって、取材班の取材力に敬意を表したい。以下に、今日の記事を掲げるが、しかしこの問題は石川県だけの問題ではなく、全国の問題なのだ。自民党政府は、農業を切り捨てながら、農業政策をもたず破壊する政策を続けながらも、農業関係予算はふんだんにつかってきた。そのお金は、農業土木に費やしてきたのだ。農業政策は、すなわち農業土木政策である、ともいえる。農林官僚が、土建業界に天下り先を確保するために、ひたすら農業土木を展開しながら、他方で日本農業をつぶしてきた。記事末尾にある、碇山洋教授のコメントの通りである。「能登島で農道や橋に使った予算を営農指導や新規就農者の支援などに回していたら、事情はまったく異なっていた。」は、全国にあてはまるのだ。  あまり農業政策の展開を知ることはないと思うが、さしあたり井野隆一『戦後日本農業史』(新日本出版社)などを読まれたい。 http://www.chunichi.co.jp/artic…

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すごいね、アメリカは。

 政府が経営支援を行ったAIGの幹部社員に多額のボーナスが支払われた。オバマ大統領も怒っているようだが、しかしアメリカや日本の経済学者が信奉している新自由主義経済とは、こういうものなのだ。メリルルンチ証券でも、幹部社員に438億円のボーナスが支給されている。  レーガン政権の頃から権力を握った者たちが、ひたすら金を集めているのだ。なお日刊ゲンダイは、支給されたのは216億円、さらに来年3月までに225億円が支払われることになっていると報じている。  「自己責任」、「市場に任せろ」なんてほざいている連中が、危機になると政府に泣きつき、自己責任を放棄し、市場に任せていたらだめになってしまうからと政府に助けを求めるのだ。こういう勝手な経済政策が、1980年代から続いているのである。  これも読もう。 http://www.the-journal.jp/contents/ny_kanehira/2009/03/post_8.html  以下は、「東京新聞」の記事。 対AIG オバマ大統領 『巨額ボーナス取り戻せ』 2009年3月17日 夕刊  【ワシントン=古川雅和】オバマ米大統領は十六日、ホワイトハウスで演説し、税金による救済を受けた米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)による幹部社員らへの計一億六千五百万ドル(約百六十億円)のボーナス支給問題について、「納税者を侮辱する行為だ」と激しく批判。合法的手段で「支払いを阻止するようガイトナー…

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