雑誌あれこれ

 今日『週刊金曜日』が届いた。表紙には、「「横田めぐみさん生存」証言者 元工作員安明進氏の告白」という字が大きく躍っていた。読んでみた。何でこれが表紙にならなければならないのか、まったく不明である。新しい事実があるわけではなく、安氏の弁明にならない弁明が並んでいるだけ。この記事は、あってもなくてもよい。まったく無駄な記事だ。こういう記事について、何で表紙にしなければならないのか、たいへん腹立たしくなった。  ということは、この753号に載せられている記事は、この記事以下のものが並んでいるというわけなのか。  『UP』6月号。これは東大出版会が発行しているPR誌。今月号は面白い。とにかく年二回の豊崎由美さんの「海外文学上半期おすすめ市」があるからだ。豊崎さんの書評は、面白く、読みたくなってしまう魅力的な文なのだ。  他に五味文彦氏の近江の国に関する短文、鴨下重彦の矢内原忠雄についての愛情あふれる文がよかった。

続きを読む

『大航海』という雑誌

 『大航海』という雑誌がある。特集によって買うこともあるという、そういう雑誌の一つである。今回の特集は「網野善彦と日本史学の現在」であったので購入した。網野氏の著書は、何冊か読んでいる。『異形の王権』、『無縁・公界・楽』、『蒙古襲来』などだ。それ以外にも、いろいろ読んでいるはずだ。  網野氏の歴史学への貢献は、永原慶二氏などからの批判もあったが、それでもとても大きいと思う。  さてこの特集、掲載された文章をすべて読んだわけではないが、なかにひどい内容のものがあった。それは小谷野敦という人物が書いた「網野善彦と「歴史学」の問題」というものだ。読んでいて、とても悪質な文であることがすぐ判明した。  まずテーマに掲げたにもかかわらず、「歴史学」についてまったく無理解であること、この人には、「歴史学」を論じる資格はないということがすぐにわかった。  次に、短い文章で網野氏の業績について論評をしなければならないのに、自らの著書を3冊も取り上げていること、これはまったくの自己宣伝の文であり、また文の各所に自己顕示欲的な記述がある。  この人の書いた『日本売春史』を購入しようという気持ちをもったことがあるが、買わなくてよかった。  この人は、自らを「あまりに多すぎる研究者」の一人であることを認識すべきである。

続きを読む

『 DAYS JAPAN』 5月号

今月号の『DAYS JAPAN』に掲載されている写真は、迫力があり、心を撃つ。「第3回DAYS 国際フォト・ジャーナリズム大賞 特大号」というだけあって、力のある写真が多い。と同時に、筑紫哲也氏や池田香代子氏らの文章が含蓄があってよい。  筑紫氏は「この世界の今がいかに悲惨と愚行に満ち満ちているかを思い知らされる」と書いているが、その通りである。「戦争、内乱、飢餓、貧困、災害、・・・」  だが、一般のマスメディアには、そのような現場を直接撮影したものは載らない。その意味で、悲惨な現実は、「悲惨」がうすめられて私たちのところに伝えられる。しかし「悲惨な現実」はそのまま届けられるべきだ。私たちは現実を直視しなければならないからだ。  この『DAYS JAPAN』には、「一枚の写真が国家を動かすこともある」と表紙の隅に書かれている。「国家」だけでなく、人々をも動かさなければならない。  現実の一つの断面が切り取られて、写真という形で私たちのもとに届けられる。その切り取られた現実の一部を、私たちは見つめる中で、自らの想像力を駆使してその現実を豊かにしていく。一枚の写真は、決して切り取られた一部ではなく、その現実よりもさらに大きく私たちの認識を高めるのだ。  今月号は、そういう写真が満載である。最初の写真は、一人の少女が泣いている。少女の前には血が飛び散っている。これがイラクの現実なのだ。テーマは「イラク 米軍パトロールの惨劇」である。  次に「母の旅」がある。小児ガンの…

続きを読む

『週刊金曜日』を読む

 『週刊金曜日』を久しぶりに買った。この雑誌が刊行された頃、私はその刊行に協力したことがある。編集委員である本多勝一氏や筑紫哲也氏の講演会を開催したりした。  この『週刊金曜日』、もう記憶になくなっているが、かなり長い間購読していた。しかしある時、どうも読者の対象が「内輪」向け、すなわちすでにもういろいろな問題意識をもって活動している人々を対象にしすぎている、新しい情報、触発を与える記事、そういうものがなくなっている、と判断して購読をやめた。そして特集によって、時々書店で購入している。  今号には、「誰が石原氏を選んだのか」という対談がある。その最初に筑紫さんの「今度の統一地方選は、浜松市長選以外は現職が全勝でしょ。浜松は地元の財界が刺客を放って刺し殺しただけで変革を示したものではない」という発言があった。それが購入した一つの理由である。  そう、スズキの鈴木修氏が中心となって、挨拶に来なくなった北脇市長を切ろうとしたのである。今度当選した刺客である鈴木康友氏は、名実共に浜松市を「スズキ」市とすべく、修氏の意向を伺いながら政治をすることになる。  それともう一つ、鎌田慧氏によるえん罪事件、袴田事件の文が載っていたからである。静岡県は「えん罪のデパート」といわれた県である(『日本の刑事裁判』岩波新書、参照)が、今もってえん罪で苦しむ人がいるのである。多くの人に注目していただきたい事件である。  久しぶりに買ってみて、なかなか良い記事が並んでいると思った。「内輪」向けでは…

続きを読む

左翼、サヨク・・・・・『論座』4月号

 「グッとくる左翼」が、今月号の『論座』(朝日新聞社)の特集である。最近「左翼」が「サヨク」と書かれ、揶揄されたり、マイナスイメージで表象させるような扱いとなっている。その「左翼」の論をまじめに取り扱っている。  今号は、その特集の意味に関わらず、力作が多い。雨宮処凜の、現実を的確に理解したうえでの主張は、力強い。高円寺の貧困に居直った、しかもそれにめげることなく生きている人びとに、新しい可能性を見出す毛利嘉孝の「ストリートが左翼を取り返す」も読ませる。  芹沢一也の「大言壮語より微細な分析を」の結論部分に賛意を表したいが、「左派」を説明する部分については、それはどうかな?という気がする。  森千香子の「社会的連帯の条件」は、「連帯」と「左翼」を結びつけることにより、現代の課題を浮き彫りにする。触発される内容が提示されている。  「貧者を招き入れよ」の西澤晃彦は、今までも社会保障の対象とされなかった「貧者」がいたことを明らかにする。今しきりになされている議論にかけている部分を指摘している。  市野川容孝「左翼と議会制民主主義」は、力作である。選挙制度を焦点に論じている。小選挙区制を「非」とする考えを、私は共有する。その制度を積極的に導入したのは民主党の小沢氏であり、市野川の「無論、小沢氏やこれを支持する論者たちー私は本誌「論座」もその一つに数えているーには、強い反論と言い分があって、そちらの方が現在の日本では多数派だろう」に大いに賛同する。  小選挙区制という「政治改革」の…

続きを読む

「貧困の罠」(『週刊東洋経済』の特集をめぐって)

 シビアな現実が書き込まれている。「編集部から」を読むと、「政府は仕事や生活の保障をすることなく、代わりに「自立」や「再チャレンジ」を求めています。そしてチャレンジを阻害するという理由で、母子家庭への給付を切ったり、自立のためと称して障害者に高額の施設利用料を課したり・・・・特集を通じて政策当事者の非常識をつまびらかにしました。」とあるように、しっかりとした問題意識で、現在の「貧困の罠」に切り込んでいる。最近、格差問題などを特集する雑誌が増えたが、今号の『週刊東洋経済』は秀逸である。  「貧困の罠」とは、「低賃金や税制・社会保障制度などの欠陥、あるいは社会的差別によって、貧困の悪循環から抜け出せない状態を意味する」(40頁)  まず「格差と貧困」で、年収200万円以下の給与所得者が981万人いる、貯蓄残高ゼロの世帯は22・9%、約1000万世帯いる、フリーター120万人、無業者(15~44歳)96万人・・・というように、特に小泉政権時代から増えてきた「格差と貧困」の数値をあげている。そして「10年間で経済構造が激変、世界屈指の不安大国に」という見出しが。次に「社会保障の危機」の数値を掲載する。  安倍政権がはやし立てている「再チャレンジ」について、「国民に雇用や生活を保障するものではない」と明確に否定する。それは、昨年「12月26日に政府が発表した「再チャレンジ支援総合プラン」では、冒頭1ページ目に2007年度予算1720億円は、一銭たりとも本人たちには支給しない、生活保障には使わな…

続きを読む

【雑誌】『経済セミナー』2007/2/3 号

 「特集」は、「生と死の経済学」である。主な目次は以下の通り。 生と死を考える  中村尚司 歯止めの効かない人口減少がもたらす未来とは!?  山口三十四 少子化と働き方の改革 ――出生率低下の経済学的意味  樋口美雄 生命の価値は測れるか  竹内憲司 経済の成熟化と死生観  広井良典 健康と社会経済格差  橋本英樹 変貌する終末期医療と介護  岡本祐三 経済学者は「死」とどう向き合ってきたか――競争論再考  井上義朗 エドマンド・フェルプス教授の功績  ――2006年度ノーベル経済学賞 竹田陽介 ムハマド・ユヌスとグラミン銀行のノーベル平和賞受賞に寄せて 黒崎卓 追悼ミルトン・フリードマン ――世界を変えた経済学者 清水啓典 連載  経世家の思想と政策(10)   大平正芳――時代の扉に手をかけた哲人宰相 香西泰  名著再訪・20世紀日本の経済学編(11)   村上泰亮『反古典の政治経済学』 小田中直樹  財政再建の選択肢(11)   わが国の地方財政の見直し 矢野康治  歴史から学ぶ現代金融の考え方(11)   金融犯罪――儲け話はなぜ信用できないのか 吉本佳生  吉本の「金融犯罪」は、別に目新しい記述はないが、メガバンクが未だ問題の多い「変額年金保険」を販売していること、大手証券会社も「確実に儲ける方法など知らない」などを指摘しながら、「甘い期待を捨てること」とまとめている。しかしなぜ同じような詐欺事…

続きを読む

『週刊 東洋経済』の2/24号

 『週刊東洋経済』の特集は、「貧困の罠」。統計など資料が多く掲載され、役に立つ。 内容は、以下の通り。 サラリーマンの受難  ・あなたにもやって来る「下流」転落シナリオ 藤川 太  ・家計が豊かになる時代はもう終わった 熊野英生  ・義務教育でも負担過大、学力も人生もカネ次第  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う 悲鳴上げる中小企業  ・消費税12万円が払えない!中小零細業者、無念の廃業 追い詰められる弱者  ・生活困窮者を門前払い、北九州市・生活保護“水際作戦”の非道  ・児童扶養手当削減に怯える働きづめの母親たち  ・追い詰められる障害者、「自立支援法」は誰のため  ・ホームレス セイフティネットなき日本社会の遭難者  ・若者たちの生活保護  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う トヨタのお膝元で  ・営業利益2兆円のトヨタを支える下請けとの「賃金格差」  ・豊田市保見団地、日系ブラジル人集住地区の実像を追う 行政改革の帰結  ・自治体予算切り詰めで「最低賃金割れ」労働が多発 地方の疲弊  ・夕張破綻 市立病院を追い出された透析患者たち  ・青森県ルポ 「もうお手上げだ」、リンゴ農家からのSOS 現代版・出ニッポン記  ・「もう日本に住めない」、年金不安が生む日本脱出 億万長者に聞く  ・「日本は成功者を成金とねたむ島国」  ・INTERVIEW 格差と貧困を問う

続きを読む

政治家の傲慢/今日来た雑誌

 日本の政治家の発言は、あまりに不用意である。女性を「機械」とする柳沢発言は、BBCやニューヨークタイムズ(Japan Health Minister Rebuked for Remark ) などにも報道されている。国際的な恥であることは、言うまでもない。問題発言であるから、世界的に報道されるのであって、その発言に対して何の責任もとらない、とらせないというのは、恥の上塗りとなる。  柳沢氏が、あのような発言をしたということは、柳沢氏の人権意識に問題があるということであり、そのような人物が日本の大臣であることはいかがなものか。  表面的に謝罪すればそれですむという感覚が、最近続いている。最近の政治家は傲慢である。おそらくその背景には、現行の選挙制度があるのではないかと思われる。 ************************************  さて、本日、三冊の雑誌が届いた。『現代思想』(青土社)2月号、特集は「北朝鮮と向きあう」である。『環境と公害』(岩波書店)36ー3号。特集は「環境被害をめぐる責任と費用負担」である。この二つは定期購読である。『現代思想』は、現在の社会状況を捉えるためには、必読文献である。もう一つは『思想』1月号である。これは特集によって購入する。今回の特集は「国際社会における正義」である。『思想』は、おそらく発行部数が少ないのだろう、特集をみて注文を出すと、もう品切れということがある。今回はセーフだった。「国際的な正義」が、もちろんアメリカ合州…

続きを読む

「信じられない愚行だ」

 このことばは、今週号のニューズウィーク日本版、副編集長のジェームズ・ワグナーのものだ。  政府税制調査会が法人税の減税を提言したこと、その税収不足を定率減税の廃止で補う、ということに対するものである。  「理論的には法人税削減の効果は給料上昇を通して個人に還元される。しかし実際には、多くの企業が巨額の収益を謳歌しているにもかかわらず、給料に反映させていない。個人所得が増えないまま税額が増えれば、財布のひもを緩める気にはならないだろう。それなのになぜ負担を強いるのか・日本政府の政策決定には、いつの時代もピューリタン的な傾向が感じられる。国益のためには、組織ではなく国民が犠牲になるのは当然だと思っている節があるのだ。」  いつの時代も、日清・日露の戦争も、国民への税負担を重くすることによって日本は「帝国」を築いてきた。今度もそれを真似るのだろう。  「愚行」に、国民は、どうするのだろうか。拝外主義的に対応するのだろうか。歴史は繰り返すのか。

続きを読む

『UP』10月号は面白い

 東京大学出版会が出しているPR誌『UP』の今月号は面白い。  まず第一。「伴大納言絵巻のなかの“暗号”」がある。後白河法皇が描かせたといわれるその絵巻、866年の「応天門の変」の顛末が描かれている。このほどその絵巻を赤外線による撮影、蛍光X線による分析、高精細デジタル撮影した結果の一部が、黒田泰三氏によって記されている。この撮影については、「新日曜美術館」(NHK教育)で放映されていた。  黒田氏らの分析の結果によると、「応天門の変」の放火犯は伴善男とされているが、この絵巻ではその放火犯は藤原良房であることを示唆しているとのことである。  第二。石井寛治氏の「近代日本経済史再考」は、学問研究というのはこうして発展していくのだなあということがよくわかる。日本近代経済史の重鎮、大石嘉一郎氏の『日本資本主義の歩み』などを題材にして論じているのだが、石井氏の最近の研究をふまえて貴重な提言がなされている。大石氏は、日本の産業革命は日清・日露戦争によって支えられていた、としているが、しかし戦争による利益が産業革命に投入されたことは跡づけられていないとして、「日清・日露の大戦争は、経済発展に関してはむしろ阻害要因だったとみるべきではないか。軍事支出は、一部の軍需産業を潤すとはいえ、国民経済的には、生産力の増強には繋がらない再生産外消耗なのである」とする。  また、大石氏の方法論は「構造論と段階論の統一的把握」であるが、「その鍵は矛盾をはらんだ構造の把握の結果、獲得される「構造的必然性」の理…

続きを読む

消費者金融の問題

 私は、出資法をなくして利息制限法に一括し、罰則を強化することが必要だと思う。そして利息制限法の利率も、市場金利に連動させたらどうかとも思う。もちろんその場合、利息はできるだけ低くである。  さて、その問題であるが、金融庁が出してきたものは、借りる人よりも、貸す人に有利になっている。当初の目的は、消費者金融に対する規制を強化するというものであったが、いつの間にか骨抜きにされているという。  なぜか。『ニューズウィーク』2006・9/20号には、「サラ金規制に異議あり」という記事があった。金利の引き下げについては否定的な記事である。しかしそのなかに興味深いものがあった。  消費者金融の外国人株主比率は高い、という。また消費者金融各社は外国企業の傘下に入っているところもあるという。例えばレイクがアメリカGEの金融部門。ディック、アイクなどが統合されたが、それはシティグループ系。その他の社は、日本の金融機関とも連携して高利の金貸しをおこなっているようだ。  ひょっとしたら、消費者金融で利益を得ている日本の銀行やアメリカの金融機関などが、日本政府に働きかけて骨抜きにしているのかもしれない。。  アメリカの利率は30%超であるようだ。アメリカが高いから、日本もそれくらいでよいだろうと考えた人がいるのである。何でもアメリカのまねをする日本。しかしこれは真似しないようにしていただきたい。  消費者金融でひどい目にあった人を知っているが、現行利率が、日本の家庭を だめにしているという。…

続きを読む

「戦闘的国家主義」と辺見庸は言う

 『現代』10月号の「無恥と忘却の国に生きるということ」という文章は、読ませる。 論点は、マスメディアに対する批判である。まず朝日に対して「新聞社が大枚はたいて〈われわれはジャーナリストなのだ〉と大宣伝しなければならないということ自体、ジャーナリズムの精神とやらに悖っていて、何やら怪しい」と記す。私にとっても、朝日の「ジャーナリスト宣言」は笑止千万である。昨年9月の選挙時の、小泉を称える社説に私は唖然として、それいらい朝日をまったく信用しなくなった。  辺見は「〈小泉劇場〉をしつらえたのは官邸である以上にマスコミだったのです」というが、それにも全く同感である。私が知る新聞記者も、なぜか小泉を好んでいたことに驚きを感じたものだ。とにかく批判的視点をかなぐり捨てて、報道を続けていた。  「官邸にとってマスコミ操作など赤子の手をねじるように簡単だったでしょう。操作するまでもなく、メディアのほうから尻尾を振ってやってくるのですから」というのも首肯する。今50代になっているメディア関係者は、権力に対して少なくとも距離を保つとか、権力に疑惑をもつとか、権力にすり寄ることに廉恥をもっていた。  だが今は、ジャーナリストの自負もなく、権力者に「かわいがられること」を喜ぶ。まあしかし、これはマスコミ人だけではない。権力に無警戒になっている人はいっぱいいる。そういう人がほとんどだ。  辺見は、安倍を「戦闘的国家主義」というが、その「戦闘的国家主義」に、これからの日本は引っ張られていくのだ…

続きを読む

立花隆「改憲政権 安倍晋三への宣戦布告」(『現代』10月号)

 ただでさえ、教育が窮屈になっているのに、教育基本法が変えられたら、一挙に戦前のような愛国心教育が推進されていくだろう。法制化されるとき、強制はしないといわれた「日の丸」「君が代」が強制されたように。  歴史の教訓は、国家統制が厳しくなれば、思想信条の自由の幅は極端に狭められる。たとえ「右」の思想でも、国家にとって「異端」と判断されれば、それは抑圧されるのである。  昨日、NHK教育テレビで「祖父が語る戦争」というものをやっていた。戦争体験世代が、自らの終焉を前にして、また現在のおかしな風潮に危機感を抱いて、自らの戦争体験について話していた。あるもと憲兵隊員は、なぜ中国が怒るのか、について、自らが手を下した行為をもとにして話していた。  私も中国に何度か歴史の調査で行ったが、偶然に出会った中国人の老人に戦争のことを尋ねると、自らの生々しい体験を語り出す。夜、ふと目が覚めると、日本兵が家の中で家族を殺している、あるいは民間人を殺して池の中にその死体を放り投げたという話、中国ではそんな話がいっぱいある。幸い、日本本土は「敵」の上陸がないときに敗戦を迎えた。自分の家に武器を持ち殺気だった兵士がいるということを考えてみればよい。そういう体験を想像して見てほしいと思う。  そのような戦争体験をもたない、また命令する側にいた人の孫が次の首相になるという。改憲を叫び、教育基本法を臨終させようとしている。そんな安倍晋三に対して、立花は戦後民主主義の枠組み作りに貢献した南原繁をその対極として、安倍晋…

続きを読む

裏金・保険金詐取

 官公庁や地方自治体、警察など、ずっと裏金の問題が続いている。よくもまあ多額の裏金をつくってきたもんだとあきれかえる。今日も下記のよう記事「点検避けたと前知事批判 17億円裏金で検討委」がある。岐阜県庁の不祥事、いや犯罪である。  総額約17億円に上ることが判明した岐阜県庁の裏金問題で、弁護士3人による第三者の検討委員会(幅隆彦委員長)は1日、調査結果報告後の記者会見で「早い段階で(裏金を)明らかにできる機会があった」として、裏金の総点検を回避した梶原拓前知事らの対応を厳しく批判した。  裏金問題では1995年に発覚した北海道庁の78億円などの例がある。  検討委は、公表が遅れた原因は「(県庁の)組織の体質」とも指摘。数人を刑事告発すべきだと提言したが、人数や名前については「今の段階では答えられない」と明言を避けた。  一方、裏金が集められた県職員組合の口座から当時の組合幹部の男性が約1000万円を着服した疑いが浮上、組合は業務上横領容疑で告発を検討している。 http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006090101003955.html  今月号の『現代』には、「自治労の闇を撃つ」というレポートが載っている。岐阜県の裏金も、隠すために組合の口座にいれていたというが、労働組合がこのような不正の、正々堂々たる担い手として登場することに唖然とする。  「自治労の闇を撃つ」は、自治労大阪の副委員長が、多額の保険金を詐取したことをあつかったものだ。その…

続きを読む

アルジャジーラについて

 アルジャジーラはカタールにあり、テレビ放送やインターネットでの情報を流している。私は、アラブ世界に起こる出来事については、このアルジャジーラのHPを見ている。  このアルジャジーラについて、『UP』(東京大学出版会)8月号に、西谷修氏が「アルジャジーラと報道の理性」という短文を書かれている。  西谷氏は「「自由で民主的な」国々のほとんどのメディアが、「民主的」なつまりは消費者受けのいいニュースを乱造して売り回るか、あるいは「自由に」競って権力の意図スピーカーになり下がっている現在の世界で」、アルジャジーラは「「報道」の理性」を貫いている、と記す。  同感である。アルジャジーラの報道はまだ客観的である。米英のイラク侵攻の際、日本の報道機関のほとんどは、米軍の管理下で米軍と共に行動をした。彼ら報道機関の視界は、当然アメリカ軍の視界と同じであり、侵攻する側の立場で放送していた。そのときのNHKのニュース報道は、米軍の広報であるかのように、これ以後どのように米英軍が進軍していくのか、という視点で行われていたことを思い出す。  しかし、アルジャジーラは、攻撃される側にあった。そしてそこからの報道を行った。だから米軍はアルジャジーラの支局を攻撃している。そして「反米」というレッテルを貼り付けている。  だが、アルジャジーラは、意識的に「反米」なのではなく、結果的に、つまり事実を報道すればその事実により、理性を持っている人に「反米」の意識を持たざるをえなくさせるのである。  アルジ…

続きを読む

雑誌『すばる』8月号

 『すばる』8月号は、面白い。まず井上ひさしの「夢の痂(かさぶた)」がある。井上ひさしの戯曲は読んでいるだけでも面白い。そのなかに一定の思想、さらに現実的課題とも直結しているからだ。戦争直後の東北の社会を舞台に、「主語」をテーマにする。「自分が主語」になること、天皇から庶民まで、「自分が主語」になることを主唱する。与えられた「状況」のなかに「主語」を隠すのでは、いけない、というのだ。そして責任をとるべき者はとる、ということが唱えられる。  中沢新一と太田光の対談「憲法九条を世界遺産に」も面白い。中沢ではなく、太田の主張に憲法九条の意味が新たに捉え直されている。  加賀乙彦と亀山郁夫の対談「二つのドストエフスキーの間に」もよい。私はドストエフスキーの作品ほとんどを学生時代に読んだが、ドストエフスキーは様々な精神的触発をもたらす。読み方も、いろいろだが、ここでは宗教性について論じられる。  最近はドストエフスキーを読む機会がないが、時間があれば再び挑戦してみたいと思う。  なお、「追悼米原万里」もよい。米原万里は闘病生活の後に亡くなった。まだ死ぬ年齢ではない。もったいないひとが亡くなった。

続きを読む

北朝鮮のこと=ニューズウィーク日本版から(2006/7/19号)

  最新号の『ニューズウィーク・日本版』に「ミサイル防衛は張り子の虎」という特集がある。  ミサイル防衛計画が日米で研究されているが、「迎撃命中率」は50パーセント以下、「おとり弾頭」を飛ばせば命中率はさらに下がるという記述がある。とすると同時に6発も撃たれれば命中率はどうなるのだろうか。  「ミサイル防衛の有効性は実証されていない」とニューズウィーク誌は指摘する。  「自衛隊は2010年までに16基のPAC3と、SM3搭載のイージス艦4隻を配備する予定でいる。だが、北朝鮮はすでに100基ほどのノドンを保有。10年までにはさらに増強されるとみられる。これがミサイル防衛の根本的な問題だ。防衛システムを構築するよりミサイルを増やすほうが、はるかに低コストで、短期間にできる」  また「まだ終わらないテポドン危機」という記事には、「金の意図は一目瞭然だ。「生き残りたい」というメッセージを北朝鮮の体制ははっきりと示している」、そして「オレを攻撃するとただではすまないぞ。だから話し合いに応じろ!」と北朝鮮は言い続けているのだ。」とある。  副編集長のジェームズ・ワグナーは「独裁者は世間一般の夫より強情で、はるかに危険な存在」だから、「わずかな成果にも報酬を与える一方、望ましくない行動をしたら無視する」という対応を提案している。  同感である。いずれにしても、国家間の争いによる犠牲者をださないためには、ひたすら「対話」を求めるしかない。北朝鮮も、非常識な方法でそれを求めているのだ。 …

続きを読む

ニューズウィーク(日本版)2006・7/5号から

 ニューズウィークの最新号、「ナチスの呪縛を解き放ったドイツ」のなかの文。  ナチスの教訓は今も僕らの脳に刻まれている。だが僕らは、それにとらわれずに生きられる  残念ながら、日本はまだこの言葉が言えない。この言葉を言えるということは、ユダヤ人をはじめ侵略された周辺の人々も同じ気持ちにならないといけない。  アジアを無視して、アメリカに行ってアメリカ大統領に会う我が国の宰相。その大統領の評価。  アメリカの歴史を熟知するワシントンの知人は、ブッシュが建国以来最悪の大統領として記憶されると確信している。   これは副編集長のジェームズ・ワグナーの文中にある。    今日は暑かった。忙しさが倍加している。

続きを読む

【本】 『UP』4月号と『歴史学研究』4月号

 『UP』は東大出版会の宣伝誌。毎年4月号は、“東大教師がすすめる本”の特集である。異なった分野の研究者が薦める本の知識を得るために一応読んではいるが、あまり買わない。しかし、そのコーナーではなく、新藤宗幸「憲法の「再生」とは」を読んでいて、山上民也『再建の理念』という本を知った。山上氏は現在92歳、大分信用金庫の会長であるが、『再建の理念』は1945年、30歳の時に書いたものであるという。  その本が今日届いた。読んではいないが、「敗戦の瓦礫を前にしてひとびとは何を考えていたのだろうか」ということを考えているときに、新藤氏はこの本に出会ったという。  なぜ日本は敗戦ならびに混乱を招いたのか・・・この問題を真摯に考えたものが『再建の理念』だという。  もう一冊。『歴史学研究』4月号の特集は、「方法としての「オーラル・ヒストリー」再考(Ⅱ)」である。姜徳相氏の「インタビューとアーカイブの問題」は、朝鮮史、ならびに「在日」の歴史を研究している氏ならではの主張に共感を覚えた。小生も、「在日」の地域史について研究したことがある。実際に良い資料がなく、新聞資料などに依存することが多かった。資料探しに苦労し、その時に「在日」一世から話を聴くことができ、助かったことを覚えている。なお敗戦直後の当局の朝鮮人対策の資料を持っているが(一部は『静岡県史』に利用した)、まだ十分に書き尽くしていないので、いつかは書くつもりである。  目的は姜氏の論文を紹介するのではない(今月号の『歴史学研究』は読む価値あり)…

続きを読む

「職場崩壊」、『エコノミスト』(3/14号)の特集

 『エコノミスト』の特集は、「職場崩壊」。  何でもかんでもアメリカを見習えと、日本の労働現場も大きく変えられてきた。やれ能力主義、成果主義だ、働き方の多様化だ、リストラだ・・・・・と走ってきた日本の労働現場。その見直しが始まっているようだ。  「一度は捨てた終身雇用、年功序列型賃金といったかつての日本的経営の良さを再び取り入れる「揺り戻し」の動きは、単純な効率化や短期的な利益を追うだけではヒトも組織も動かず、働く人のモチベーションや企業の「現場力」を弱めることを、身をもって経験したからに違いない」(39頁)  上の文は、三井物産の記事中の文言であるが、同社は成果主義賃金の修正も行っているとのこと。  全体的な傾向として現れているのは、労働現場の「改革」により、労働者の帰属意識は低下し、技術を伝承する人材が不足し、労働現場に正社員、派遣労働者、請負労働者が混在しているために競争力が低下し、給料は減り、労働時間は増加し・・・・・というように、結果は「悪い」ことばかりだ。  改革、規制緩和など、近年行われてきた政策を見直すべきである。日本には日本にあった働き方がある。どこかの国の真似ばかりするのはもうやめよう。労働者を大切にする社会こそが、安全安心の日本をつくる。  この『エコノミスト』誌は、資料になる。    

続きを読む

ニューオーリンズにおける「民族浄化」

『東京新聞』(『中日新聞』)3月1日外報欄に「街の『白人化』進む ニューオーリンズ被災半年」という記事が載せられていた。  その一部を掲載する。  【ニューオーリンズ=池尾伸一】超大型ハリケーン・カトリーナがジャズの街、ニューオーリンズを直撃して一日でちょうど半年。復旧が遅れ、四十八万だった人口は十五万と三分の一未満に減少する中、鮮明になったのが街の「白人化」。貧しい黒人層には不満がたまってきている。  被災前、七割を黒人が占め、白人は三割に満たなかったが、現在は白人が六割以上。被害のひどかった東部の貧しい黒人は他州などで避難生活を強いられ、比較的、裕福な白人層は家を修理し戻ってきているためだ。    これに関する記事は、『現代思想』2006年1月号の特集「災害」に載せられていた。M・デイヴィスの「ニューオーリンズの置き去りにされた者たち」がそれである。  災害が、時の権力者に「味方」するという感じを私は持っているが、アメリカのそれは「アメリカ史における災害は、大方の場合、階級闘争と人種闘争が闘われるばであり続けてきたのです。それは途方もない規模で闘われる階級闘争なのです」と記される。    なぜかというと、ニューオーリンズの白人たち、あるいは豊かになることができた黒人の一部は、できるだけ多くの貧困層、特に黒人の貧困層をニューオーリンズから追い出そうとしていたが、今までそれはうまくいかなかった。ところが、ハリケーン・カトリーナは、今までできなかったことを行った、というのだ…

続きを読む

『歴史評論』3月号(校倉書房)

 『歴史評論』というマイナーな雑誌がある。歴史科学協議会が編纂している。私は、いちおうこれを購読している。私は近現代史を中心にしているので、あまり熱心な読者ではない。  しかし今号は力作揃いである。  まず、曽根ひろみ氏の「憲法「改正」と家族」は、憲法24条の「改正」に関わる論点を明確に打ち出している。憲法「改正」をめざしている自民党が、どのような家族像を描いているかが簡潔にまとめられている。  材料は、自民党「憲法改正プロジェクトチーム」の「会議の概要」である。私もそのHPにアクセスしたことがあるが、あまりの杜撰な「論理」、知的背景も何もなく、ただ思いついたことを滔々とまくしたてている、という印象をもった。このような人々の思いつきが、憲法や法律になるというのは、日本人として「恥」であるとつくづくと思った。  曽根氏は、「チーム」の人々が ①「家族」を「国のため」に存在するものと見なしていること。 ②「家族の義務」ということから、いかなる犠牲をはらっても家族のために奉仕すべきだと考えていること。 ③性別分業、家事は女性が担うべきという考えがあること。 をあげ、「自民党がめざす家族とは、法規範を強化し、内においては(主として女性が)養育・扶養を一身に担い、外に対しては国防義務を果たすという、極めて国家主義的な家族像である」と結論づけている。  また、彼らは、夫婦別姓問題が「家族崩壊」を招くかのような論をたてている。曽根氏は、その言説を紹介している。  夫婦同姓は、…

続きを読む

【雑誌】 ニューズウィーク日本版 2006・3・1の特集「下流パニック」

 ニューズウィーク日本版は、「下流パニック」を特集している。  日本のジニ係数でみると、OECDのなかでも所得格差が大きい国である。それについては、もう常識となっている。  今回の特集は、日本は所得格差の激しいアメリカ社会(1978年には、平均的な経営者は庶民の35倍稼いでいた。それが2004年には435倍となった)に向かっているという論調である。その通りと言うしかない。「アメリカの労働人口の多くは、すでに中産階級とは呼べない」という。「格差は、人に命もむしばむ。低所得層が多いアメリカの地方部では覚醒剤の使用者が増えている。ほとんどは交代勤務の工場労働者やトラック運転手、ウエートレスなどの低賃金労働者。できるだけ長時間働きたいから、眠気防止のために覚醒剤に頼っている」とも記しているが、それは日本の現実でもある。トラック運転手やタクシー運転手のなかに、覚醒剤などにはまる人がいるという。  グリーンスパンFRB(連邦準備理事会)前議長は、昨年夏、「総労働人口の20%をしめる管理職の給料が急速に増えている一方、残り80%の平均的労働者の給料は下がっている。」と議会で報告した。これも日本の姿である。現在の小泉・竹中改革は、その方向に日本を変えようとしている(靖国、靖国と主張する日本の宰相ほど、アメリカに従属的である)。  日本の生活保護世帯は、1992年には58万5972世帯、しかし2005年は99万8887世帯。富める者はますます富み、貧しい者は貧しいままで、それが増えている。先日小泉首…

続きを読む

中国のライブドア

 中国には「ラブドアバス」が走っている。大連には、ライブドアグループの「弥生」のコールセンターやソフト開発分野がある。  日本向けコールセンターは、すでにGE,デル、HPがあり、日本語に堪能な中国人はすでにここに雇用されている。これらの給与は7万~14万円。ライブドアは約5万円しか出せない。  そこで後発のライブドアは、「ライブドアインターンシップ」を発明した。「自分でおカネを払ってでも外国で就業体験したい人がたくさんいる。ならば、おカネをもらえて中国語も勉強できるれば人が集まるはず」として、日本人を連れてきて大連で働かせるということをしている。最盛時には100名以上がいたという。  またライブドアチャイナには、350人の中国人エンジニアが雇用されていて、「Eudora」の日本向けローカライズ、「弥生」などのソフト開発に従事しているという。  (以上『週刊東洋経済』1月28日号、「仰天、ライブドアチャイナが大連に呼んだ日本人「新移民」」を要約した。詳細は、同誌をご覧いただきたい。なお同誌には、中国経済についての様々な問題点が記されていて、中国のいまを理解する上で参考になる。)

続きを読む

『週刊文春』2/2号

 ①沖縄・那覇市で死んだ野口英昭氏の死は本当に「自殺」なのかを調査した結果が記されている。なるほど彼の死は不審な死である。私も他殺ではないかと疑っている。この文を読んで、その疑惑がより強まった。   ②アメリカ産牛肉問題についての文も良い。その「検査は骨抜き、アメリカ牛は背骨付き」という記事は、アメリカ産牛肉がいかに問題であるかを指摘している。  まずブッシュは、自分の牧場で作らせた牛肉しか食べないらしい、こと。  精肉工場の労働条件はきわめて悪いこと  脊髄の髄液が肉に飛び散る可能性があること  個別データのないアメリカの牛の月齢を正確に測定することは不可能であること  1999年から、EUはアメリカ産牛肉を一切輸入していない  日本には、輸入食糧について検査する体制がないこと。EUでは、調査のために抜き打ちで検査官が外国へ出向くそうだ。日本政府はそんなことを一切しない。  アメリカ産牛肉の問題点が、短い文章に説得的に書かれている。  豚肉は嫌いで、牛肉が好きだという人もいるけれども、出所がわからない牛肉は食べない方がよい。

続きを読む

見開き2頁の文と5枚の写真、詩人桜井哲夫さん

 短い文だ。しかし、力がある。その文が、写真と共に引きつける。   『DAYS JAPAN』の最新号が送られてきた。そのなかに、「海峡を越える詩」という文と写真があった。桜井哲夫という詩人がいる。ハンセン病に苦しんだ一人の男性である。その男性、といってもおそらく年齢は重ねているのだろう、その老人と在日の女性との交流が書かれている。  その詩人のことばが引用されているのだが、そのことばがすごい迫力をもって迫ってくるのだ。  在日の金さんに「あんたは朝鮮人だから、日本で生きていくのは俺より大変だろうね。俺たちは確かに社会から隔離され差別されてきた。でもこの中で暮らしていれば、直接冷たい風に当たらないで済む。でもあんたは社会に出たら、直接あんたの身に降りかかってくるよ。俺は何もしてあげられないけど、つらくなったらいつでも遊びにおいでね」と語る。  「俺は、詩の行間にあるものを伝えたい。それは人の隙間を埋めるもの。だから文字ではなく、言葉で書くの。正美もこれから、文字のない詩を一緒につくっていこう」  ぼくは、ウームとうならざるを得ない。すごい人がいる!!と思った。  また、桜井さんの朝鮮に対する姿勢がすごい!彼は「韓国へ行って謝罪したい」と言うのだ。戦争体験もなく、療養所に隔離されていた桜井さん、そこに朝鮮の患者たちがいたことから、植民地支配の本質を掴んでいたのだ。  ボクは桜井さんの詩集と、金正美さんの本を注文した。すごい人間がいる!!その人間から、エネルギー…

続きを読む

韓国の状況

 ニューズウィーク日本版1/25号に、韓国国民の経済生活の姿が記されていた。韓国は、1997年の金融危機の際、IMFの指導を受け、新自由主義の市場至上主義が持ち込まれている。  韓国も以下のような状況だという。 1. 中流層の減少、貧困層の上昇 高所得階層 +0・7%    中所得階層 -4・6%    低所得階層 +3・9%  中流層の人口は、1997年から2004年までに4・6%減少(3・9%が低所得者層へ、 0・7%が高 所得者層へ移動 2 最下層の所得    1995年 平均所得の41%    2003年        34% 3.貧困層(家族四人で、月収1360ドル以下) 700万人で史上最高。人口の15% 4.上位10%の所得    1995年 平均所得の199%    2003年        225% 5.全労働者にしめる非正社員の割合    2001年  27%    2004年  37% 6 .非正社員の平均所得は、正社員の65%以下 7.資産格差も拡大している。   「経済の不平等が次の世代へと受け継がれていく」  新自由主義経済改革が、それを採用した国々に深刻な較差をつくりだしている。小泉改革は、その改革である。    

続きを読む

世界の情報を得るために

 日本の新聞の国際面には、日本とあまり関係のない地域、国の情報がほとんど載らない。そのため私はニューズウィーク日本版を購読しているが、最近『COURRiER Japon』(クーリエ ジャパン)という雑誌を店頭で見つけて購入した。これがなかなか面白い。  第4号は、「国境から見たNIPPON」として、韓国側から竹島を、ロシア側から北方領土を書いている。異なった視点から見ることは大切で、良い企画だと思った。  「勝ち組だけが得をする米好景気の「まやかし」」(P・クルーグマン)、「「名古屋スタイル」が世界経済をリードする」など、興味深い記事が多くあった。この二つの記事は、現在の小泉改革への批判にもなる。  この他、アフリカや南米など、海外のいろいろな情報もあり、世界を知る上でも参考になる。   講談社発行、悪税を含めて480円、毎月第1、第3木曜日発売である。  

続きを読む

「もっと相手の話を聞かなければ世界に見捨てられる」

 これは、『ニューズウィーク日本版』1/11号の、アメリカに対する「諫言」である。ファリード・ザカリアという、まあジャーナリストというか学者というか、そういう人の文である。「アメリカを滅ぼす帝国主義大統領」というテーマで書いているのだが、その副題が、上に挙げたものである。  次に紹介するようなことがあるから、「もっと相手の話を聞かなければ・・・・・・」というのである。  アメリカ外交が、帝国主義的になりつつあるという問題である。外国要人との会談はすべて一方通行で、実際はアメリカの政策を相手に通告するだけだ。  だが、アメリカは「帝国主義的になりつつある」のか?いや、アメリカは帝国主義そのものである。アメリカは一貫して一方的であり、最初から「聞く耳」を持っていない。政府、軍、企業などほとんどそうだ。アメリカに何か悪いことが起きたら、それはすべて「他」が悪いのである。独善主義!!  イラクへの攻撃なんかその典型ではないか。  アメリカ人の「・・・・・なりつつある」という現実認識に、私は呆れてしまう。  呆れてしまうのは、そのアメリカに、今年の戌年よろしく「わんわん」と尻尾を振って、ブッシュの言うことをはいはいと聞いている日本の「リーダー」たちの姿である。  アメリカ産牛肉の問題などでの鋭い指摘、耐震偽造問題での大活躍の「きっこの日記」、1月5日付けにも、そのひどさが記されている。  http://www3.diary.ne.jp/user/338790/  「…

続きを読む